外壁リフォームは、家の美観を保つだけでなく、資産価値を高める重要な投資です。さらに、リフォームが相続税評価額に与える影響や、節税対策となるのをご存じですか?
本記事では、外壁リフォームの具体的な方法や費用、相続税対策としてのリフォーム事例を詳しく解説します。
外壁リフォームの種類と費用
外壁リフォームはそのシェアの高さから、主に外壁塗り替えリフォームとサイディングの貼り替えリフォームの二つが主流です。
外壁塗り替えリフォームは、塗料の種類や面積により費用が変動し、一般的には30~100万円程度です。一方、サイディングの貼り替えリフォームは、素材や工法により異なりますが、100~300万円ほどかかることが多いです。
外壁塗り替えリフォームのメリットとデメリット
この項では、外壁塗り替えリフォームのメリットとデメリットについて解説します。
メリット
美観の向上
外壁が新しくなることで、家全体の印象が明るくなり、価値が上がります。特に築年数が経過した家では、外壁の汚れや色褪せが目立つため、定期的な塗装が必要です。
耐久性の向上
外壁塗装は、建物を雨風から守る重要な役割を果たしています。高品質な塗料を使用することで防水性や耐候性が向上し、建物の寿命が延びます。また、ひび割れや剥がれなどの、外壁の劣化を防ぐことができます。
メンテナンスコストの削減
定期的な外壁塗装は、都度費用はかかるものの、長期的なメンテナンスコストを削減する効果があります。外壁の劣化を早期に発見し、適切に対応することで、大規模な修繕を避けることができます。
デメリット
費用がかかる
外壁塗り替えリフォームは相応の費用がかかります。塗料の種類や施工面積によって費用は異なりますが、一般的には数十万円から百万円以上かかることが多いです。費用対効果を考えながら、適切な予算を設定することが重要です。
施工期間中の不便
外壁塗装リフォームには、数日から数週間の施工期間が必要です。この間、騒音や工事車両の出入り、塗料の匂いなどで、生活に多少の不便が生じることがあります。
定期的なメンテナンスが必要
外壁塗装は一度行えば終わりではなく、定期的なメンテナンスが必要です。塗装の耐用年数は一般的に10年程度であり、定期的な塗り替えが求められます。これにより、長期的な維持管理費用がかかることを考慮する必要があります。
外壁塗り替えリフォームのメリットとデメリット
メリット | デメリット |
---|---|
美観の向上 | 費用がかかる |
耐久性の向上 | 施工期間中の不便 |
相続税対策 | 定期的なメンテナンスが必要 |
メンテナンスコストの削減 | ー |
サイディングの貼り替えリフォームのメリットとデメリット
ここでは、サイディングの貼り替えリフォームのメリットとデメリットについて解説します。
メリット
美観の大幅な向上
サイディングの貼り替えは、外壁の見た目を一新する大きな効果があります。多様なデザインや色を選ぶことができ、建物の印象を劇的に変えることができます。外壁の美観が向上することで、資産価値も自然と上がります。
耐久性と防火性の向上
高品質のサイディングは、耐久性が高く、外壁を長期間にわたって保護します。また、防火性のある材料を選ぶことで、火災のリスクを軽減することができます。これにより、建物の安全性が向上し、保険料の節約にもつながります。
メンテナンスの簡便さ
サイディングはメンテナンスが容易で、定期的な塗装の必要がほとんどありません。これにより、長期的なメンテナンスコストや手間を削減することができます。
相続税対策
サイディングの貼り替えによる外壁リフォームは、建物の評価額を上げ、資産価値を増加させる効果があります。これにより、相続税対策としても有効です。資産価値が向上することで、相続時の評価額を適正に管理しやすくなります。
デメリット
初期費用が高い
サイディングの貼り替えは、初期費用が高くなることが一般的です。素材や施工方法によって費用は異なりますが、通常は数十万円から数百万円の範囲で費用がかかります。事前の蓄えなど、予算計画をしっかり立てることが重要です。
施工期間中の不便
サイディングの貼り替えには、数週間程度の施工期間が必要です。この間、工事音や作業車両の出入りなどで、生活に多少の不便が生じることがあります。事前にスケジュールを確認し、生活への影響を最小限に抑える工夫が必要です。また、近隣への配慮も欠かせません。
部分補修が難しい
サイディングは、一部が損傷した場合に、部分的な補修が難しいことがあります。全体的な貼り替えが必要になることもあり、その場合の費用や手間がかかることがあります。
サイディングの貼り替えリフォームのメリットとデメリット
メリット | デメリット |
---|---|
美観の大幅な向上 | 初期費用が高い |
耐久性と防火性の向上 | 施工期間中の不便 |
メンテナンスの簡便さ | 高い技術が必要 |
断熱性の向上 | 一部補修が難しい |
相続税対策 | ー |
外壁リフォームをしないリスクとは
リフォームを怠ると多くのリスクが伴います。ここでは、外壁リフォームをしないリスクについて解説します。
外壁の劣化
外壁は風雨や紫外線、気温の変化などに常にさらされており、時間が経つにつれて劣化が進みます。外壁リフォームを行わないと、塗装の剥がれやひび割れが発生しやすくなります。これらの劣化を放置すると、外壁材自体が損傷し、修繕費が増加します。
水漏れのリスク
外壁のひび割れや劣化が進むと、雨水が建物内部に浸入するリスクが高まります。水漏れは建物の構造体に深刻なダメージを与え、カビや腐朽の原因となります。このため、住環境の悪化や健康被害が生じる可能性があります。
修繕費の増大
定期的な外壁塗装やリフォームを怠ると、塗装壁同様に将来的に、大規模な修繕が必要となり、その費用が増大します。小さな劣化を放置することで、最終的には全面的な外壁交換が必要になることもあります。定期的なメンテナンスを行うことで、長期的なコストを抑えることが重要です。
美観の低下
外壁の劣化は建物の外観に直接影響します。美観が損なわれると、建物の資産価値が低下し、売却時の価格にも影響が出ます。特に中古物件の売却を考えている場合、美しい外観は購入者にとって重要な判断要素となります。
カビやダニの発生
水漏れや湿気の増加により、室内にカビやダニが発生しやすくなります。これらはアレルギーや喘息などの健康被害を引き起こす原因となります。特に子供や高齢者がいる家庭では、健康リスクを避けるためにも、外壁のメンテナンスが重要です。
外壁リフォームをしないリスク
リスク | 詳細 |
---|---|
建物の劣化 | 塗装の剥がれ、ひび割れ、外壁材の損傷 |
水漏れのリスク | 雨水の浸入、カビ、腐朽の発生 |
修繕費の増大 | 大規模修繕が必要になる可能性 |
資産価値の低下 | 美観の低下、評価額の減少 |
健康被害と生活環境の悪化 | カビやダニの発生、断熱性能の低下 |
防犯上のリスク | 外壁の脆弱化による侵入リスクの増加 |
リフォームするとなぜ節税に?
リフォーム、特に外壁リフォームは相続税対策として有効です。理由の一つは、外壁リフォームによって固定資産税評価額が変動することです。具体的には、外壁の劣化を防ぎ、建物の価値を維持することで、適正な評価額を保つことができます。
また、リフォーム費用は経費として計上できる場合があり、相続税の負担を軽減することが可能です。さらに、省エネリフォームなど特定の条件を満たすリフォームは、相続税の税制優遇措置の対象となることがあります。
固定資産税評価額と相続税評価額の関係
外壁リフォームを検討する際、固定資産税評価額と相続税評価額の関係について理解することが大切です。
固定資産税評価額とは?
固定資産税評価額は、毎年1月1日時点での土地や建物の価値を基に市町村が評価する金額で、市場価格の70%程度とされていますが、地域や不動産の種類によって異なる場合があります。
相続税評価額とは?
相続税評価額は、相続が発生した時点での財産価値を評価した金額です。この評価額に基づいて相続税が計算されます。不動産の相続税評価額は、土地は路線価や倍率、建物は固定資産税評価額を基に算出されることが一般的です。
つまり、固定資産税評価額が相続税評価額にも直接の影響を与えるため、固定資産税評価額を適正に維持することが相続税対策にも直結します。
固定資産税評価額と相続税評価額の関係
外壁リフォームを行うことで、固定資産税評価額が適正に維持され、建物の資産価値を保つことができます。以下は、固定資産税評価額と相続税評価額の関係を示した表です。
評価額の種類 | 評価方法 | 関連する税金 |
---|---|---|
固定資産税評価額 | 市町村の評価基準に基づく | 固定資産税 |
相続税評価額 | 路線価や固定資産税評価額を基に算出 | 相続税 |
外壁リフォームと固定資産税評価額
適切なリフォームを行うことで、評価額が適正に保たれ、建物の老朽化による評価額の減少を防ぐことができます。
外壁塗装やサイディングの貼り替えなどのリフォームは、建物の耐久性や美観を向上させるため、固定資産や相続対象として、資産価値の維持に大いに貢献します。
具体的なリフォーム事例と評価額の変化
以下は、具体的な外壁リフォーム事例とその評価額の変化を示した表です。
リフォーム内容 | 評価額の変化例 |
---|---|
外壁塗装の全面塗り替え | 評価額が10%向上 |
サイディングの貼り替え | 評価額が15%向上 |
外壁のひび割れ補修 | 評価額が5%向上 |
防水工事の追加 | 評価額が8%向上 |
リフォームを怠り続けた最終形が、放置空き家です。
老朽化が進んで倒壊が近くなった家屋は、自治体から指定を受けてしまうと、居住用物件の優遇措置の権利を失い、土地の固定資産税が6倍になります。所有者が死亡して相続の際に、撤去の強制執行の代金を請求されたケースもあります。
節税効果の高いリフォームの方法
外壁リフォームは建物の価値を向上させるだけでなく、適切に行うことで節税効果も期待できます。
特に相続税の負担軽減を図るためには、リフォームの内容やタイミングを戦略的に計画することが重要です。ここでは、相続税の節税効果の高いリフォームの方法について具体的に解説します。
外壁塗装による節税効果
外壁塗装は、比較的手軽に行えるリフォームですが、その節税効果を最大限に活用するためには以下のポイントを押さえることが重要です。
資本的支出としての計上
外壁塗装の費用は、資本的支出として計上することが可能です。
資本的支出とは、建物の価値を向上させるための支出を指し、この費用は固定資産税評価額の引き下げに貢献します。例えば、古い塗装を剥がし、耐久性の高い塗料で塗り替える場合、その価額を資本的支出として計上することで、評価額の増加を抑えることができます。
リフォーム内容 | 資本的支出例 |
---|---|
外壁の全面塗り替え | 200万円 |
耐久性の高い塗料使用 | 100万円 |
サイディングの貼り替えによる節税効果
サイディングの貼り替えは、外壁の美観や断熱性を向上させるだけでなく、節税効果も期待できます。
節税のコツ:長期的な視点で計画
サイディングの貼り替えは、外壁全体の価値を向上させるための大規模なリフォームです。
そのため、資本的支出として計上し、建物の評価額を適正に保つことが重要です。特に、耐久性や断熱性に優れた素材を使用することで、将来的な修繕費用を削減し、長期的な節税効果を得ることができます。
リフォーム内容 | 資本的支出例 |
---|---|
高品質サイディング使用 | 300万円 |
断熱材の追加 | 150万円 |
リフォーム費用を資産価値にする
リフォーム内容は固定資産税評価の見直し対象となります。また、外壁リフォーム費用を経費として計上することで、節税効果を得ることができます。しかし、リフォーム費用を経費にするためにはいくつかの条件がありますので、注意が必要です。
修繕費と資本的支出の違いは?
外壁リフォームにおいて、修繕費と資本的支出の違いを理解することは重要です。これらの違いを明確にすることで、適切な会計処理や節税効果の最大化が可能となります。
修繕費とは?
修繕費は、資産の通常の使用状態を維持するために行う修繕や交換費用を指します。外壁の定期的な塗装や、部分的な修理が該当します。具体的には、以下のような特徴があります。
- 維持のための支出: 資産の使用状態を保つための必要な支出
- 通常の修繕・交換: 資産の機能や価値を保つための日常的な費用
- 資産価値の向上を伴わない: 単なる修理や交換であり、資産の価値を増やす改善ではないことが特徴です。
資本的支出とは?
一方で、資本的支出は、資産の価値や使用可能性を増す改良や増改築を指します。外壁全体の大規模な改修や、新しいサイディングの取り付けなどが該当します。主な特徴は以下です。
- 資産の価値向上: 資産の価値を増やすために行われる支出です。
- 改良や増設: 資産の機能性や利便性を向上させるための支出です。
- 長期的な効果: 資産の寿命を延ばしたり、その使用価値を大幅に向上させることが期待されます。
会計上の処理と節税効果
修繕費は通常、その年の経費として処理されます。一方で、資本的支出は資産の改良や増設なので、資産の耐用年数に応じて償却費として計上されることが一般的です。
これにより、修繕費を経費として計上することでその年の税負担を軽減することが可能ですが、資本的支出の場合は税務上の取り扱いが異なるため、専門家のアドバイスを受けることが重要です。
相続税申告時の注意点
外壁リフォームにかかる費用を修繕費として経費計上する場合でも、相続税申告時には注意が必要です。特に、評価額の算定や節税対策に関するアドバイスを専門家から受けることがおすすめです。
リフォーム工事を相続税評価に反映させるための図式は以下です。
(リフォーム工事にかかった費用-償却費相当額)×70%で評価 |
つまり、相続財産からリフォームを行うと工事費用の30%の節税効果が期待できることになります。適切な計画とアドバイスを得て、効果的に実施しましょう。リフォームを申告内容に含めないと、脱税行為になってしまうので注意が必要です。
相続時にはさまざまな控除があるため、課税の発生する相続は全体の9.6%ほどです。正しく申告して資産価値を高め、末長く安心して住んだり、売却時などに活かしたりするほうが、メリットが大きいでしょう。
相続税申告時のよくあるミスと対策
外壁リフォームを行う際には、相続税申告に関する注意点があります。ここでは、よくあるミスとその対策について解説します。
リフォーム費用の適切な処理を怠る
ミス: 相続財産の評価において、リフォーム費用を経費として計上できるかどうかを理解していないことがあります。リフォームを資本的支出と誤解し、経費計上を怠るケースがあります。
対策: リフォームが修繕費である場合、相続財産の評価に経費として計上することができます。税務の専門家に相談し、適切な会計処理を行いましょう。
リフォームの目的や範囲を詳細に記録しない
ミス: リフォームの目的や範囲を十分に文書化しておらず、相続税申告時にその改良の本質を説明できないことがあります。
対策: リフォームの際には、契約書や請求書、写真などでリフォームの内容を詳細に記録しておきましょう。これにより、税務署にリフォームの目的や効果を明確に説明できます。
評価額の適切な算定を怠る
ミス: リフォーム後の評価額を適切に算定せず、相続財産の評価額を誤って申告することがあります。
対策: リフォーム前後の不動産の評価額を専門家による査定で明確に把握しましょう。また、税務署のガイドラインに基づいて評価額を算定し、正確な申告を行います。
業者選びと専門家のアドバイスは大切
外壁リフォームを成功させるためには、適切な業者選びと専門家のアドバイスが欠かせません。特に外壁のリフォームは建物の美観や耐久性に直結する重要な工事です。しっかりと準備をして、理想の外壁リフォームを実現しましょう。
リフォーム会社の選び方と比較ポイント
外壁リフォームを成功させるためには、適切なリフォーム会社の選定が重要です。以下に、リフォーム会社を選ぶ際のポイントをいくつかご紹介します。
信頼性と実績
リフォーム会社の信頼性は、担当者がこちらの要望に丁寧に対応する姿勢があることのほか、実績や評判からも確認することができます。インターネットで過去の施工実績や顧客の声、口コミなどをチェックしましょう。
施工の品質と技術力
外壁リフォームは、建物の保全や外観の美しさに直結する重要な工事です。施工の品質や技術力が高いかどうかも、施工例や使用する材料、施工方法について調べましょう。
コストと見積もりの明確さ
複数のリフォーム会社から見積もりを取り、コストや内容を比較することが大切です。金額は安価でも内容のあいまいな見積もりには注意が必要です。具体的な作業内容や材料の品質などを確認しましょう。
保証とアフターサービス
リフォーム後のアフターサービスや保証がしっかりしているかも重要なポイントです。万が一のトラブルや修正が必要な場合にも迅速に対応してくれるかどうか、契約前に条件を明確にし、確認しておきましょう。
ペイプロでご紹介する外壁リフォーム業者は、価格の比較だけではなく口コミ1位2位など選りすぐりのプロフェッショナルです。ぜひご利用ください。
専門家のアドバイス を受けよう
外壁リフォームにおいて、専門家のアドバイスは大切です。専門家の知見を活用し、より賢明なリフォーム計画を立てることができます。以下に、専門家から得られる有益なアドバイスの例をご紹介します。
適切なリフォーム計画の立て方
外壁リフォームの専門家からは、建物の状態や環境に応じた適切なリフォーム計画のアドバイスをもらうことができます。例えば、地域の気候条件や建物の年数に応じた適切な塗料や材料の選択、施工方法の提案などがあります。
節税効果を最大化するアドバイス
施工会社や会計事務所などは、節税効果を高めるためのアドバイスも提供してくれます。例えば、外壁の断熱性を向上させることで固定資産税評価額を抑え、相続税評価額を減らすことができる可能性などです。
まとめ
外壁リフォームの具体的な方法や費用、相続税対策としてのリフォーム事例を詳しく解説しました。
リフォームの種類や費用、節税効果の高い方法を知り、専門家のアドバイスを受けることで、適切な判断ができます。相続時の負担を減らすためにも、リフォームを通じて家の価値を維持・向上させる工夫が重要です。将来に備えて計画的に進めることをおすすめします。