屋根塗装が傷んで剥がれているけど、どうしたらいいか分からないという方は多いのではないでしょうか?
剥がれは、外観の問題だけではありません。今回は、屋根塗装の補修の必要性や費用の相場、安くするコツなどを解説します。
屋根塗装の剥がれは補修が必要?
屋根塗装の剥がれとは、塗装されている屋根に起きる、塗装の膜が剝がれている状態です。外見上は塗装の剥がれのほかに塗装の傷みから、屋根材そのものが剥がれている状態のこともあります。
屋根の塗装の剥がれは、塗装している屋根のみに起きますが、対象となるのはスレート瓦、アスファルトシングル、セメント瓦、モニエル瓦、金属屋根(トタンやガルバリウム鋼板)などの屋根材です。
塗装の補修の必要性
長期間放置して塗装の剥がれが起きた屋根は、色あせや傷み、藻や苔の繁殖など、外観の劣化が起きます。しかしそれ以上に問題なのは家全体の傷みへの影響です。
屋根塗装の剥がれを放置したままにすると、そこから雨や風、日光などの影響を直接受けるようになります。屋根材の劣化が進むと、雨漏りの原因となる可能性があるのです。
塗装をやり直して、新しい塗膜のコーティングをすれば、新しい塗料の寿命までは安心して住むことができます。
塗装剥がれの補修のタイミング
塗膜の剥がれが起きるまでの寿命の目安は、アクリル塗料で5~7年、一般的なシリコン塗料で10~13年、フッ素塗料で15~20年、無機塗料で20~25年です。
外見の剥がれはそれほどではなくとも、塗膜の寿命や劣化の進行があるため、上記を目安に屋根の再塗装を検討しましょう。
屋根の再塗装が必要な症状は?
塗装剥がれの他にも、屋根が以下の症状のときは、再塗装が必要なサインとなります。
- 屋根材のズレ
- 屋根材の反りやひび割れ
- 棟板金の浮きや釘抜け
- 周囲の漆喰の劣化や剥がれ
- 苔や藻、カビの発生
これらは主に屋根塗装の劣化が誘発して起きる症状です。
屋根塗装の剥がれの原因
屋根塗装の剥がれは、相応の経年劣化が原因であることがほとんどですが、それだけではありません。
経年劣化によるパリパリした剥がれ
塗料ごとの耐用年数を超えると、その前後で塗膜の剥がれや苔や藻、カビの発生が始まります。耐用年数の短い塗料ほど、早く剥がれが起きることになります。
塗料の寿命は太陽光や雨水の影響で左右されるため、家屋の日当たりや湿度、気候の違いで傷みの進行に違いが出ます。雪の多い地方では凍害や塩害で、塗装後数年で剥がれが出た例もあります。
施工不良が剥がれにつながった
塗料の寿命は天候など条件により異なりますが、一般的な条件にもかかわらず、屋根塗装の施工が終わってすぐのタイミングや、数年で塗装の剥がれやひび割れが出たときは以下のような施工不良の可能性もあります。
下地の強度不足
塗装前の準備不足(ケレン・洗浄)
塗料選びのミス
塗り方のミス
欠陥施工は塗り残しや、下地に合う塗料選びのミスなど、技術が足りないことで起きます。また、悪徳業者が施工のコストを下げて値引きしたり、利ザヤを稼いだりすることで欠陥施工につながることがあります。
3回塗りが必要なところを2回で済ませるほか、塗料を規定以上に薄める、点検の工程を省くなどが原因で、塗膜が早く剥がれるケースが起きます。良心的な業者を選ぶことが大切です。
災害が原因になった
強い風雨や地震、隣の火事による消火や熱の影響などが、屋根の塗膜の剥がれ、屋根材のズレ、棟板金の浮きや釘抜けに影響してしまうこともあります。
自宅に火災保険や地震保険をかけていれば、上記はすべて補償の対象となります。保険の加入内容は、日頃からチェックしておきましょう。
また、災害後の保険の審査は、同じエリアで集中することがあります。早めに状態を確認して、保険適用の申請を行いましょう。
外壁塗装で火災保険申請をする方法|ペイプロ
屋根の塗装工事の内容
建物の屋根は日頃から、直射日光や雨を直接受け止め続けています。そこで屋根が再び天候の影響を受けないように再塗装でコーティングのし直しを行います。塗装の剥がれ補修の施工方法をご説明します。
屋根の塗装工事の方法
屋根の剥がれを修復する塗装工事は、以下の工程で進めます。工期は全工程でおよそ10日から14日ほどですが、屋根の傷み具合や天候によって延びることがあります。
屋根の再塗装工事の工程【足場・洗浄・板金も】
以下は屋根塗装の工程名と内容、所要の目安です。
工程名 | 内容 | 日数の目安 |
---|---|---|
1.現場確認 | 近隣挨拶の後に、現場の状況をチェックし、搬入や足場かけなど、工事の段取りを検討する。施主も立ち会う。見積もり時とはチェックの観点が違う。 | 1日 |
2.足場設置 | 屋根と外壁の両方に足場を設置する。足場担当の業者が作業を行う。大きな音が出やすく、近隣に気を遣う工程。 | 1日 |
3.洗浄 | 古い塗膜や、屋根に付着した汚れ・苔などを高圧洗浄機できれいにし、乾燥させる。作業中は窓やドアが開けられない。 | 1日 |
4.下地処理 | 下地処理、下地補修ともいう。屋根材の剥がれ・ひび割れの補修や、洗浄で落としきれない汚れやサビの除去をする。緩んだ釘や板金の部材の交換も行う。補修箇所が多い場合、日数が増える工程。 | 1日~3日 |
5.養生 | 塗装しない箇所に塗料が飛んだり付いたりしないように、必要に応じてシートで被う。塗りではなくスプレーなどの吹き付け塗装の場合は、より厳重に養生を行う。 | 1日 |
6.下塗り | 下塗りはあとの2回の塗装と異なり、屋根材と以降の塗装の膜を密着させ、上塗りの塗料の吸い込みを止める塗料を使う。屋根の剥がれなど劣化が激しい場合、下塗りを2回行うことも。 | 2日~3日 |
7.中塗り・上塗り | 中塗りと上塗りは同じ塗料。間に塗料の種類ごとに必要な乾燥時間を置く。塗りの工程はにおいが出やすいため、近隣に気遣いが必要。スレート屋根の場合は、上塗り後に塗料の癒着を剥がす「縁切り」を行う。 | |
8.完了検査 | 塗装の仕上がりや塗り残しをチェックし、問題があれば補修する。塗料の汚れも確認。施主も立ち会う。 | 1時間 |
9.足場解体 | 検査や補修に問題がなければ、足場を撤去する。撤去時も大きめの音が出るため注意。 | 1日 |
最初の現場確認の時点で、日常生活に支障が出ないか確認することも必要です。洗浄作業の間は家やベランダの出入りが制限されることがあります。また、大きな音やにおいが出る作業もあります。
アルファードやヴェルファイアクラスの車は置き場に要注意!
作業車両の出入りや足場の都合で、一時的に車が置けなくなる可能性もあります。アルファードやヴェルファイアクラスのサイズの車両の場合、要注意です。
塗装を依頼した施主は、現場確認と完了検査の立会いが求められます。また、近隣への挨拶も業者と一緒に回っておくと、トラブルが起きにくくなります。クレームへの対応は塗装業者が担当してくれます。
屋根塗装の剥がれ補修の費用相場は?
剥がれた屋根塗装を補修するための平均的な費用相場や、作業の内訳ごとの平均的な費用をご紹介します。
屋根塗装の剥がれ補修の費用相場
屋根補修工事の一般的な費用相場は50万円台からです。剥がれの部分補修の場合、足場なしで5万円から、足場ありの場合約20万円からと考えると良いでしょう。
使用する塗料の種類でも、以下のような価格差が生じます。
塗料の種類 | 耐用年数 | 30坪(約100㎡) あたりの費用 |
---|---|---|
アクリル塗料 | 5~7年 | 14万円~16万円 |
ウレタン塗料 | 8~10年 | 17万円~22万円 |
シリコン塗料 | 10~15年 | 23万円~30万円 |
ラジカル制御型塗料 | 10~15年 | 25万円~30万円 |
フッ素塗料 | 15~20年 | 38万円~48万円 |
光触媒塗料 | 15~20年 | 42万円~50万円 |
無機塗料 | 20~25年 | 45万円~55万円 |
上記のようにアクリル塗料と無機塗料では、価格だけでなく耐用年数に相当な差があります。また、屋根の種類がストレートなのか、セメント瓦なのか、トタン屋根なのかでも変わってきます。高価な塗料は寿命も長いため、塗り直しの回数を意識すると、長い目で見ればお得と言えます。
屋根塗装工事の見積もりの内訳
屋根塗装の費用は、30坪の2階建てで40~60万円のことが多いです。費用の内訳は、大きく分けると工事代(+塗料代)、足場代、その他の費用となります。内訳ごとの相場は以下です。
工事代 | ・30坪の住宅の場合、工事代(人件費)は約10万~20万円ほどが相場。 ・工事代には、高圧洗浄費や養生代などの項目が含まれる。 |
---|---|
足場代 | ・30坪程度の2階建てで、足場代は16万円~23万円が相場。 ・足場は面積で金額を出す。 ・住宅の外周+8m×高さ(階数)が基本で、これに単価700~1000円を掛ける。 ・2階建てと3階建てでは費用が5〜10万円ほど変わる。 |
その他の費用 | ・たとえば塗装でも、屋根本体以外の軒天(軒下)や雨どいの塗装は付帯工事費用として計上される。 ・清掃代、ゴミ廃棄代、諸経費などの費用なども別途必要となる。 |
このほかに、塗料代が屋根塗料の種類と施工面積、塗装する屋根材の種類によって異なります。以下はスレート屋根の剥がれに施工した場合の例です。
スレート屋根の場合・塗料別・坪数別の単価と施工費用目安
スレート屋根では塗料種・塗りの面積によって以下のような差になります。
塗料 | ウレタン塗料 1,500~2,000円/m2 | シリコン塗料 1,800~2,500円/m2 | フッ素塗料 3,300~4,500円/m2 |
---|---|---|---|
10坪 | 7~9万円 | 8~12万円 | 15万〜21万円 |
20坪 | 14万~19万円 | 17万〜23万円 | 31万〜42万円 |
30坪 | 21万~28万円 | 25万〜35万円 | 46万〜63万円 |
40坪 | 28万~37万円 | 33万〜46万円 | 61万〜83万円 |
50坪 | 35万〜46万円 | 42万〜58万円 | 76万〜104万円 |
60坪 | 42万〜56万円 | 50万〜70万円 | 92万〜125万円 |
塗料選びによる見積額への影響が大きいです。ただし前述のように良い塗料は耐用年数が長いので、一概に費用が高いとは言えません。
塗装以外の屋根補修の費用相場
屋根全体を塗装せず、剥がれの部分補修を行ったり、一部を塗装したりする場合の費用相場は、足場がない場合で約5万円から、足場を組む場合で約20万円からです。
ただし剥がれ具合によってかなり値段が変わることと、部分的な塗装は、剥がれの部分とまわりとの色つやを合わせるのは困難です。補修箇所が多い場合は、全体を塗り替える方が良い場合もあります。
塗装では補修しきれない屋根の剥がれの場合、屋根のふき替えを要することもあります。ふき替えの場合は約100万~170万円を要します。
【助成金・保険金】屋根の塗装費用を安くする
この項では、屋根の塗装の剥がれを修復する費用を安くするコツをご紹介します。
助成金を申請する
塗装の剥がれを補修する施工で、自治体の助成金を申請できます。申請できる助成金には、以下のようにいくつかの方向性があります。
- 建物の外壁が熱を保持しにくくして、ヒートアイランド対策となる
- 光熱費が下げられ、省エネルギー化が達成できる
- 耐久性の高い建材で、資材の節約となる
- 移住や空き家対策対象のリフォーム支援
環境政策や省エネルギー目的の助成金の場合、遮熱塗料や断熱塗料を屋根に施工することで主旨に添い、効果を高めることもできます。
助成金は塗装などの施工費用の10~20%を、上限10万~30万円で支給する地域が多いですが、移住や空き家対策の助成金の場合は、それ以上の助成率の制度もあります。
助成金の申請をする際には、管轄自治体で屋根塗装工事を対象とする制度があるかを確認する必要があります。
また、交付の決定後に着工することや、税金の滞納がないこと、助成金の支給は工事費支払い後となることなどを覚えておきましょう。
このほか、申請のできる施工会社が限られる場合や建物の見取り図や平面図が必要な場合、申請や認定に時間がかかる場合などにも注意が必要です。
助成金申請の条件やスケジュールなどは、張り替えの施工業者と相談しながら行いましょう。
助成金/補助金を使うには|ペイプロ
火災保険を利用する
火災や地震、台風の風水害などの自然災害によって屋根の剥がれが発生した場合、補修の費用は火災保険や地震保険でまかなえる可能性があります。
経年劣化ではなく、あくまで災害に起因する剥がれなどの損壊が保証の対象です。また、近年の火災保険は被害に応じた支給ではなく、施工された内容に対する補償となります。
したがって家全体のサイディングの張り替え工事に部分破損適用が認められるかは保険の加入内容にもより、保険会社によって対応が異なることも考えられます。
外壁塗装で火災保険申請をする方法|ペイプロ
助成金は、屋根塗装の剥がれに適用できる制度がない場合も多く、火災保険や地震保険は経年劣化に対しての補償はありません。悪徳業者の「張り替え工事に必ず助成金や火災保険が使える」かのような勧誘があっても、必ず実際の状況を確認しましょう。
複数の業者から相見積もりをとる
複数の業者から見積もりをとることで、適正な剥がれ補修の費用が分かり、業者と価格の交渉をするときも、他社の見積りとの比較が可能となります。
価格が安いだけにはこだわらず、良心的な業者を探すことで、不当な料金追加などを回避することが出来ます。
屋根塗装の業者の選び方
屋根塗装の剥がれの補修を依頼する際には、まずWebサイトや知人の紹介などを利用して、候補となる剥がれ補修の業者を複数選び出し、情報収集をしましょう。
屋根塗装の剥がれに対する再塗装の施工事例や、口コミ等で業者の比較をします。口コミによる評判は、信ぴょう性の薄いものもあるため、幅広く情報を比較して判断しましょう。
また、訪問営業に乗ってそのまま剥がれ補修を発注することは絶対に避け、複数の業者の評判や見積もりを比較しましょう。一括の業者比較では良心的な業者を選ぶことは難しいです。良心的な業者探しはペイプロをご利用ください。
口コミ1位と2位の業者を紹介|ペイプロ
屋根塗装業者の選び方
屋根塗装のはがれ補修を依頼する業者を選ぶ際は、以下の点をチェックしましょう。
- 屋根塗装の剥がれ補修の実績が多いか
- こちらの話を丁寧に聞いてくれるか
- 張り替え施工の説明が丁寧
- アフターフォローや保証内容が充実している
- 有資格者の在籍や会社の資格
- 自社で張り替え施工を行う
屋根塗装の剥がれ補修を依頼する業者を選ぶ際の資格は、塗装技能士や外装劣化診断士、雨漏り診断士、防水施工技能士の保有者が在籍すること、会社が建設業許可を受けているなどが、ひとつの判断基準になります。
施工の保証体制の基準のひとつに、リフォーム瑕疵(かし)保険への加入があります。リフォーム瑕疵保険加入の場合、張り替え工事の施工中や工事完了後に第三者検査員による現場検査が行われます。
質の高い施工が行われ、それでも施工不良が出た場合でも、保険修理が依頼できます。
悪徳業者に注意!
屋根の剥がれ補修の場合、訪問営業で「屋根の塗装の点検をさせてほしい」と言われても、簡単に屋根に上げることは避けましょう。依頼者が見ていない間に屋根に剥がれや傷をつけて、補修が必要だと言われた例もあります。
また、屋根の剥がれ補修の工期は、外壁よりも天候に左右されやすく、工期があいまいになりがちです。晴れているのに何日も工事が止まることを避けるため、「いつ始まって、予定通りならいつ終わるか」をはっきりさせておきましょう。
悪徳業者は前述のように、不当なコストダウンから不良施工を起こしたり、前払いで請求して行方知らずになるなど、悪質な犯罪やトラブルになってしまうこともあります。
屋根塗装の剥がれについてのQ&A
ここまでのおさらいを兼ねて、屋根塗装の剥がれについて、よくある質問をご覧ください。
塗装の剥がれ補修は、どのくらいの期間で必要?
屋根の塗膜の寿命の目安は、アクリル塗料で5~7年、一般的なシリコン塗料で10~13年、フッ素塗料で15~20年、無機塗料で20~25年です。ただし、家の場所や施工の具合によって短くなることがあります。
塗装の剥がれの原因は何?
「経年劣化」「施工不良」「災害」などが原因となります。屋根の施工不良は塗料の調合や塗り残し、塗り足りないなどです。災害は台風の風水害や、地震が原因となって剥がれが起きます。
塗装の剥がれ対策は?
こまめにチェックして剥がれなどの部分補修を行うことで、傷み・剥がれが広がるのをある程度防ぐことが出来るでしょう。良い塗料を使うと高価ですが、耐用年数が長く、再塗装の頻度を少なくできます。
まとめ
屋根塗装の剥がれの補修の必要性や費用の相場、安くするコツなどを解説しました。どこまでしっかりと施工するかや、どんな種類の塗料を使うか、色はどうするかなど、価格や仕様を決める要素はたくさんあります。
良心的な施工や価格だけでなく、安心して相談できる塗装業者を見つけるのが、満足のいく施工のために大切です。
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