家の外観を美しく保ち外壁を長期的に守るために、外壁塗装は欠かせない工事です。塗装を成功させるには、適切な種類の塗料を選ぶのが非常に大切です。
塗料の種類選びは、価格や見た目だけで決められるものではありません。外壁の材質や劣化状況、予算、求める耐用年数など、様々な要素を考慮する必要があります。また、それぞれの塗料のメリットとデメリットを知っておくことが重要です。
本記事では、外壁塗装に用いられる塗料の種類について、わかりやすく解説します。塗料の種類や特徴、選び方のポイントなどを知ることで、自宅の外壁に最適な塗料を選べるようになるでしょう。
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外壁塗装の塗料選びが大切な理由

外壁塗装は、家の見た目を美しく保っておくだけではなく、建物内部を雨風や紫外線から守るという重要な役割を担っています。
まず、塗料にはそれぞれ「耐用年数」「耐久性」「価格」「機能性(防カビ・断熱など)」といった特徴があり、すべての家に同じ塗料が適しているわけではありません。
たとえば、海に近い地域では塩害に強い塗料、寒冷地では凍害に強い塗料など、環境に合わせた種類の選定が必要です。
また、安価な塗料を選んだ場合、一時的な出費は抑えられますが、塗り替えサイクルが短くなるため、結果的に高くつくこともあります。逆に、高耐久な塗料を選べば初期費用はやや高めでも、長期間塗り替え不要になります。
さらに、最近では遮熱や防汚などの機能を持つ高機能塗料も登場しており、単なる外観維持にとどまらない効果も期待できます。塗料の種類選びは、見た目だけでなく「家を長持ちさせる投資」と考えることが大切です。
塗装に使う塗料選びのポイントは以下の3つです。
外壁の素材
外壁素材が木材なら、アクリル樹脂塗料、コンクリートにはシリコン樹脂塗料など、素材特性に適した種類の塗料を使うことで、塗膜の密着性や耐久性が向上します。
建物が置かれている環境条件
前述のように沿岸部では塩害に強い塗料、寒冷地では低温でも硬化する塗料、日光の当たる面には耐UV性の高い塗料を選ぶなど、環境に適した塗料選びが肝心です。
外壁塗装の目的
長期的な外壁保護にはフッ素樹脂塗料、デザイン性重視なら多彩模様塗料、省エネ・遮熱を目的とする場合は高反射率塗料など、目的に応じた塗料選びが大切です。
この3つの点を総合的に考慮しながら適切な塗料を選ぶことで、美しく耐久性の高い外壁塗装を実現できます。
主な外壁塗装用塗料の種類一覧と特徴

外壁塗装を行う際、目的や求める性能に応じて、様々な種類の塗料を選択することができます。以下は、6種類の外壁塗装用塗料の特性をまとめた一覧表です。
塗料の種類 | 主な特徴 |
---|---|
アクリル塗料 | 耐候性 豊富なカラーバリエーション 乾燥時間が短い |
ウレタン塗料 | 仕上がりがきれい 耐久性 防水性 |
シリコン塗料 | 耐久性 防汚性 |
フッ素塗料 | 耐久性 耐汚染性 |
ラジカル制御型塗料 | 耐候性 光沢感 |
無機塗料 | 防火性 環境への優しさ |
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外壁塗装用アクリル塗料

一般的に広く使用されているアクリル塗料は、多彩な色調が利用可能です。
アクリル塗料のメリット・デメリット
アクリル塗料が外壁塗装に適している主な理由は、以下の2点です。
- 多彩なカラーバリエーションで、理想の外観を実現できる
- 乾燥時間が短く、工期を短縮できる
ただし、アクリル塗料にも留意すべき点があります。
- 乾燥中に臭気が発生する
- 丁寧な下地処理が必要
塗装時や乾燥中に独特の臭いが発生するため、近隣への配慮し塗装に使用する必要があります。また、下地の状態によっては十分な密着性が得られない可能性があるため、入念な下地処理が不可欠です。
アクリル塗料の価格・耐用年数
アクリル塗料の一般的な価格帯と耐用年数は、以下の通りです。
費用相場 | 耐用年数 |
---|---|
1,200円~1,500円/㎡ | 約5年~7年 |
※参照 https://y-gaiheki.jp/gaihekitosounotisiki/gaihekijimon3/
ただ、下地処理や塗装工程に不備があった場合、塗膜の耐久性が低下し、早期に再度の塗装が必要になることもあります。
逆に、適切な下地処理と丁寧な塗装工事が行われた場合、アクリル塗料でも8年以上の耐用年数を期待できる場合もあります。
外壁塗装用ウレタン塗料

耐久性や防水性に優れたウレタン塗料は、過酷な環境下でも長期間美観を維持します。また、ウレタン塗料は柔軟性に富んだ塗膜を形成するため、建物の微細なひび割れにも追従しやすいのが特徴です。
ウレタン塗料のメリット・デメリット
ウレタン塗料には以下の3つのメリットがあります。
- 抜群の耐久性
- 優れた防水性
- 仕上がりがきれい・カラーバリエーション
一方、デメリットは以下です。
- 外壁塗装時や乾燥中の強い臭気
- 高い施工技術の必要性
ウレタン塗料は刺激的な臭いを発するため、近隣への配慮が必要となります。
また、下地処理や外壁塗装に高い精度が求められるため、施工品質が仕上がりに大きく影響します。
ウレタン塗料の価格・耐用年数
ウレタン塗料の一般的な価格帯と耐用年数は、以下の通りです。
費用相場 | 耐用年数 |
---|---|
1,600円~2,000円/㎡ | 約8年~10年 |
※参照 https://y-gaiheki.jp/gaihekitosounotisiki/gaihekijimon3/
ウレタン塗料の耐用年数は、約8年~10年程度が目安とされています。この数値は適切なメンテナンスを行った場合の目安であり、立地環境や施工品質によって変動します。
10年を超えた期間ウレタン塗料を使い続けるには、適切な下地処理と丁寧な塗装工事が行われ、定期的なメンテナンスが実施される必要があります。

外壁塗装用シリコン塗料

シリコン塗料は、耐久性と柔軟性を兼ね備えた高性能な種類の塗料です。紫外線や雨水に強く、建物の細かいひび割れもカバーするので、長期的な美観維持と防水効果が期待できます。
シリコン塗料のメリット・デメリット
シリコン塗料のその主な利点は以下の3点です。
- 優れた耐久性
紫外線や雨水、温度変化などに非常に強い - 高い防汚性
汚れが付着しにくく、付着しても簡単に落とせる
これらの特長から、シリコン塗料は過酷な環境条件下でも高いパフォーマンスを発揮し、外壁を長期的に保護することができるのです。ただし、シリコン塗料にもデメリットが存在します。
- 塗膜が割れやすい
塗膜が硬く柔軟性が低いため、塗膜自体が割れる可能性がある - 高い初期コスト
他の塗料と比べて価格が高く、初期投資が大きくなる傾向がある
シリコン塗料の価格・耐用年数
シリコン塗料の費用相場は以下のとおりです。
費用相場 | 耐用年数 |
---|---|
1,800円~2,500円/㎡ | 約8年~10年 |
※参照 https://y-gaiheki.jp/gaihekitosounotisiki/gaihekijimon3/
シリコン塗料は価格と耐用年数のバランスが良く、外壁塗装でよく用いられます。100平方メートルの外壁を塗装する場合、シリコン塗料を使うと、およそ18万円~25万円ほどの費用がかかります。
バランスの良い塗料を選びたい場合に、シリコン塗料はおすすめです。

外壁塗装用フッ素塗料

フッ素塗料は、非常に高い耐久性を持つ高品質な塗料です。紫外線や雨水、温度変化など、過酷な環境条件下でも長期間美しさを保つことができます。また、汚れが付着しにくく、仮に付着しても簡単に除去できる優れた特性を有しています。
フッ素塗料のメリット・デメリット
フッ素塗料を外壁塗装に使うメリットは以下の3点です。
- 耐久性
紫外線、雨水、温度変化など、過酷な環境下でも長期間美しさを保てる - 耐汚染性
汚れが付着しにくく、付着しても簡単に落とせる
これらの特長から、フッ素塗料は外壁の保護と美観維持に非常に効果的であると言えます。
ただし、フッ素塗料にも注意すべき点があります。
- 高い初期コスト
初期費用が高くなる恐れがある - 専門技術が必要
外壁塗装に高い精度が求められる
フッ素塗料の価格・耐用年数
フッ素塗料の費用相場と耐用年数は、以下の通りです。
費用相場 | 耐用年数 |
---|---|
3,000~4,500円/㎡ | 約15年~20年 |
※参照 https://y-gaiheki.jp/gaihekitosounotisiki/gaihekijimon3/
メリットとデメリットは以下です。
- 美しい外観を長く保てる
- メンテナンス期間を延ばせる
- コストがかかる
一般的なアクリル塗料の耐用年数が約5年~7年程度なのに対し、フッ素塗料は約15年~20年ともいわれています。つまり、フッ素塗料を使えば、塗り替えの頻度を大幅に減らすことができるのです。
その分初期費用が高めですが、長い目で見れば、メンテナンスコストを抑えられるため、トータルでは経済的といえるかもしれません。

外壁塗装用ラジカル制御型塗料

ラジカル制御型塗料は、光や熱によって発生するラジカルを抑制し、塗膜の劣化を防ぐ最新技術を採用した塗料です。高い耐候性と光沢保持性を兼ね備え、長期的な美観維持が可能です。
ラジカル制御型塗料のメリット・デメリット
ラジカル制御型塗料を塗装に使う主な強みは以下の2点です。
- 耐候性
紫外線や酸性雨など、様々な気候変動にさらされても劣化しにくい - 光沢感
塗膜表面の光沢感が長持ちし、美しい外観を維持しやすい
これらの特長から、ラジカル制御型塗料は外壁の保護と美しさの維持に非常に効果的であると言えます。
ただし、ラジカル制御型塗料にも注意すべき点があります。
- 選べる塗料が少ない
塗料の種類の選択肢が少ないため、希望の色を選べない可能性がある - 施工条件が限定される
気温や湿度など、施工時の条件が限定されているため、施工時期や方法に注意が必要
ラジカル制御型塗料の価格・耐用年数
ラジカル制御型塗料の価格は、以下の通りです。
耐用年数 | 耐用年数 |
---|---|
2,000~2,800円/㎡ | 約15年~20年 |
※参照 https://y-gaiheki.jp/gaihekitosounotisiki/gaihekijimon3/
このように費用相場が低く、耐用年数が長いのがラジカル制御型塗料の特徴です。
かかる費用は、フッ素塗料よりは安く、シリコン塗料よりは高い位置づけとなります。100平方メートルの外壁を塗装する場合、20万円~28万円ほどの費用が必要になります。
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外壁塗装用無機塗料

無機塗料は、セメントや石灰などの無機物を主成分とした耐久性に優れる塗料です。有機物を含まないため、紫外線や熱による劣化が起こりにくく、長期的な美観維持が可能です。
無機塗料のメリット・デメリット
無機塗料は、有機物を含まない無機化合物を主成分とする塗料です。無機塗料を外壁塗装に使う主な利点は、以下の3点です。
- 優れた耐久性
紫外線や酸性雨などの過酷な環境要因に強い - 高い防火性能
無機化合物を主成分とするため、燃えにくくなる効果がある - 環境への優しさ
有機溶剤を使用しないため、環境負荷が少ない
ただし、無機塗料にも注意すべき点があります。
- カラーバリエーションが少ない
有機顔料を使用しないため、色選択の幅が狭くなる傾向がある - 高い初期コスト
他の塗料と比べて価格が高く、初期投資が大きくなる可能性がある
無機塗料の価格・耐用年数
無機塗料の費用相場と耐用年数は、以下の通りです。
費用相場 | 耐用年数 |
---|---|
3,500~55,000円/㎡ | 約15年~20年 |
※参照 https://y-gaiheki.jp/gaihekitosounotisiki/gaihekijimon3/
品質やメーカーによって異なりますが、一般的に価格が高く高級塗料であるといえます。1平方メートルあたり3,500円~55,000円と、かなりの価格幅があります。特に、高品質な石材調の無機塗料は、1平方メートルあたり数万円を超えることもあります。
予算に余裕があり、長期的な視点で外壁塗装を考えている方は、無機塗料も選択肢の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。

水性・油性と1液型・2液型の違い

ここでは、水性塗料と油性塗料、そして1液型塗料と2液型塗料の特徴を比較しながら解説し、それぞれの塗料が適している状況について紹介します。
水性塗料と油性塗料の違い
水性塗料は、溶剤として水を使用するため、揮発性有機化合物(VOC)の排出量が少なく、環境に優しいという利点があります。また、乾燥が早く塗装後の臭いも少ないため、居住空間への影響を最小限に抑えられます。ただし、耐水性や耐久性は油性塗料に比べてやや劣ります。
一方、油性塗料は有機溶剤を使用するため、VOCの排出量が多く、環境への負荷が大きくなります。しかし、耐水性と耐久性に優れ、光沢のある美しい仕上がりが得られます。油性塗料は、過酷な環境下で長期的な塗膜保護が必要な場合におすすめできます。
以下は、水性塗料と油性塗料の主な特徴をまとめた表です。
特徴 | 水性塗料 | 油性塗料 |
---|---|---|
環境への影響 | 低い | 高い |
乾燥時間 | 短い | 長い |
臭い | 少ない | 強い |
耐水性・耐久性 | 普通 | 優れる |
仕上がりの光沢 | 控えめ | 高い |
水性塗料と油性塗料のそれぞれに長所と短所があり、用途や環境に応じて適切な選択が必要です。
環境に配慮しつつ、必要な耐久性や仕上がりの質を求める場合は、水性塗料が適しています。一方、過酷な条件下で長期的な保護を求める場合は、油性塗料の選択が賢明でしょう。
1液型と2液型の違い
1液型塗料と2液型塗料の違いは、塗料の構成成分の数と、それに伴う施工の難易度にあります。
1液型塗料は、必要な成分がすべて1つの容器に含まれており、開封してすぐに使用できます。DIYにも適しており、施工が簡単で、特別な知識や技術を必要としません。1液型塗料は、一般的な住宅の外壁塗装におすすめできます。
2液型塗料は、主剤と硬化剤の2つの成分で構成されており、使用前に正確な比率で混合する必要があります。そのため、混合の手間と専門知識が必要です。ですがその分、耐久性や耐薬品性に優れた塗膜を形成します。2液型塗料は、工場や倉庫などの過酷な環境下で長期的な保護が必要な場合に適しています。
1液型塗料は施工が簡単で一般的な用途に適しており、2液型塗料は高い耐久性を必要とする場面で使用されます。
塗料に付加される機能

塗料は対象物の表面を保護するだけでなく、様々な機能を付加することでその価値を高めることができます。ここでは、代表的な付加機能について紹介します。
寿命を長くするための機能
塗料の耐久性を向上させるために、以下の工夫が施されています。
- 耐候性に優れた樹脂の使用
- 耐光性の高い無機顔料の使用
- 紫外線吸収剤や酸化防止剤などの添加剤の配合
これらの工夫によって、塗料は長期間にわたって対象物を保護し、見た目を維持します。
汚れの付着を防ぐ機能
汚れが付着しにくく、落ちやすい塗料を実現するために、以下の技術が用いられています。
- フッ素樹脂やシリコーン樹脂による低表面エネルギー化
- 親水性成分の配合
- 光触媒の利用
防汚性の高い塗料を使用することで、住まいや製品の美観を長く保ち、メンテナンスの手間を減らせます。
断熱により部屋の暖かさを保つ機能
塗料は建物の省エネルギー化にも貢献できます。断熱性を高める塗料の特徴は以下の通りです。
- 微細な空隙の形成による熱伝導の抑制
- セラミックなどの赤外線反射材料の使用による太陽熱の反射
- 低放射材料の使用による室内熱の保持
断熱性の高い塗料を建物の内外壁に使用することで、冷暖房の効率を高め、エネルギー消費量を減らすことが可能です。断熱性能の高い塗料は夏の熱を反射し、冬の熱を逃がしにくくすることで、建物の省エネルギー化に貢献します。
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外壁材に合った塗料のおすすめの選び方

外壁の塗装を行う際、使用する材質に合った塗料を選ぶことが重要です。適切な塗料を選ぶことで、外壁の耐久性が上がり、美しい仕上がりを長く保つことができます。
モルタル・コンクリート壁
モルタルやコンクリートの壁を長期的に保護するおすすめの塗料は以下の2つです。
シリコン塗料 | 耐久性と柔軟性に優れ、小さなひび割れを埋めて水の浸入を防ぐ |
---|---|
フッ素塗料 | 紫外線、チョーキング、色あせに対する抵抗力が高く、直射日光にさらされる場所に最適 |
サイディング
ビニールやファイバーセメントなどのサイディング材には、材料の伸縮に対応できる塗料が必要です。
アクリル塗料 | 耐久性と柔軟性を備えた汎用性が高い |
---|---|
ウレタン塗料 | 接着力と耐摩耗性に優れた耐久性が高い |
シリコン塗料 | 柔軟性が高く、温度変化によって伸縮するサイディング材に適している |
タイル
外壁のタイルには、光沢のある表面によく密着し、外部の要因に耐えられる塗料が必要です。おすすめの塗料は以下の2つです。
シリコン塗料 | 柔軟性と耐久性が高く、小さなひび割れを埋めて水の浸入を防ぐ |
---|---|
フッ素塗料 | 紫外線や色あせに対する抵抗力が高く、直射日光にさらされるタイルに適している |
タイルの特性に合った塗料を選び、適切な下地処理を行うことで、耐久性のある美しい仕上がりを得ることができます。
金属
外壁が金属でできている場合、錆や腐食を防ぎ、耐久性のある仕上がりを提供する塗料が必要です。おすすめの塗料は以下の通りです。
ウレタン塗料 | 接着力と耐摩耗性に優れ、金属表面に適している |
---|---|
フッ素塗料 | 紫外線、チョーキング、色あせに対する抵抗力が高く、外部の要因にさらされる金属表面に最適 |
予算と耐用年数から塗料の種類を選ぼう

外壁塗装の塗料選びは、予算と求める耐用年数によって異なります。ここでは、予算重視、バランス重視、長期耐用年数重視の3つの観点から、最適なグレードの塗料の選び方をご紹介します。
予算重視の場合
予算を抑えたい方には、アクリル樹脂塗料がおすすめです。
アクリル樹脂塗料は比較的安価で、作業も簡単なため、施工コストを抑えることができます。また、防カビ・防藻性能も備えているため、メンテナンスの手間を軽減できます。
ただし、アクリル樹脂塗料は耐用年数が5〜7年程度と短めなので、定期的な塗り替えが必要となります。また、近年プロの塗装店の使用が減っています。コストを抑えつつ、ある程度の耐久性も求める方には、シリコン樹脂塗料も選択肢の一つです。シリコン樹脂塗料は、アクリル樹脂塗料よりも若干高価ですが、7〜10年程度の耐用年数が期待できます。
バランス重視の場合
品質と意匠性のバランスを求める方には、ウレタン樹脂塗料がおすすめです。ウレタン樹脂塗料は、優れた耐候性・耐久性を持ち、10〜15年程度の長い耐用年数が期待できます。また、多彩な色調や質感が選べるため、建物の美観を高めることができます。
ウレタン樹脂塗料を選ぶ際は、以下の点に注意しましょう。
- 高耐候性タイプを選ぶ
- 下塗り・中塗り・上塗りを適切に行う
- 施工業者の技術力を確認する
耐用年数重視の場合
できる限り長い耐用年数を求める方には、フッ素樹脂塗料がおすすめです。
フッ素樹脂塗料は、最も高価な塗料ですが、20年以上の長期耐用年数が期待できます。また、優れた耐汚染性・耐薬品性を持ち、過酷な環境下でも外壁を保護します。
フッ素樹脂塗料を選ぶ際は、以下の点に注意しましょう。
- 高品質な製品を選ぶ
- 下地調整を入念に行う
- 専門性の高い施工業者に依頼する
初期コストは高くなりますが、長期的に見れば塗り替えの回数が少なくて済むため、トータルコストを抑えることができます。
トータスコスト重視の場合、もし時期が適切なら外壁と屋根の塗装を同時に施工すると、初期コストはかかるものの、足場の設営・撤収が1回で済むために、別々に施工するよりも20万円前後を安くすることができます。
外壁塗装を成功させるためのポイント

家の外壁塗装は、美しく長持ちする仕上がりを実現するために、適切な塗料と施工業者の選択が不可欠です。ここでは、外壁塗装工事を成功させるための重要なヒントをご紹介します。
迷ったらシリコン系かフッ素系の2種類の塗料から検討する
外壁塗装に用いられる塗料の中でも、シリコン系とフッ素系は特に優れた性能を持っています。
シリコン系塗料は、優れた耐候性と柔軟性を持ち、外壁の微細なひび割れを防ぐことができます。また、低汚染性であるため、外壁の美観を長期間維持することが可能です。
一方、フッ素系塗料は、シリコン系よりも高い耐久性と防汚性を備えています。過酷な環境でも長期間劣化しにくく、高い光沢を保つことができます。
このように、両者ともに外壁塗装に適した特性を持っているため、塗料選びで迷った際は、シリコン系とフッ素系を中心に検討するのがおすすめです。
実際の塗料の色を見て使うメーカーを決める
家の外壁の色は、住宅の印象を大きく左右する要素です。塗料メーカーのカタログやウェブサイトで色を選ぶ際は、実際の色とは異なって見えることがあるため、注意が必要です。
最終的な色の決定には、以下の手順を踏むことをおすすめします。
- メーカーのカタログやウェブサイトで、イメージに近い色を選ぶ
- 実際の塗料サンプルを取り寄せる
- 日光や照明の下で、サンプルの色を確認する
- 住宅の外観に合うかどうかを判断し、色を決定する
実際の塗料サンプルを確認することで、イメージとのずれを防ぎ、満足のいく仕上がりを得ることができます。
業者に過去の実績をみせてもらう
家の外壁塗装工事を依頼する際は、業者選びが非常に重要です。優れた技術と経験を持つ業者に依頼することで、高品質な仕上がりを期待できます。
業者を選ぶ際は、以下の点に注意しましょう。
- 過去の実績や施工事例を確認する
- 使用する塗料のメーカーと種類を確認する
- アフターサービスや保証内容を確認する
- 見積もりの内容を詳細にチェックする
特に、過去の実績や施工事例は、業者の技術力を判断する上で重要な情報です。実際に施工した物件の写真や、お客様の声などを参考にすることで、業者の能力を見極めることができます。
外壁塗料の種類選びの注意点

ここでは、外壁塗装での塗料選びの注意点を3点紹介します。
短期的なコストを意識して塗料の種類を選ぶ
前途のように、安価な塗料を選んでしまうと、短期的にはコストを抑えられますが、数年で劣化が進み、再度塗り替えが必要になる可能性が高くなります。
中長期的なコストを見据えて塗料を選ぶことが賢明だと覚えておきましょう。
外壁の劣化状況によっては下地処理や補修が必要
外壁塗装に先立ち、壁面の劣化状況をよく確認することが重要です。古い塗膜が剥がれかけている場合は下地処理が、ひび割れや欠けがある場合は部分的な補修工事が必要になります。
壁面の状態によっては、事前の下地処理や部分補修の追加工事が発生する可能性があることを認識し、塗料選びと併せて総合的に工事費用を検討する必要がありますので、注意が必要です。
色や質感によって塗料の種類が限られる場合がある
外壁の色味や艶、つやの質感によっては、選べる塗料の種類が限られる場合があります。例えば、以下のようなケースが挙げられます。
- 艶のないマットな質感を求める場合は、艶有り塗料は使えない
- 原色に近い鮮やかな発色を求める場合、一般的な塗料では難しい場合もある
このように、希望する色味や質感によっては、適した塗料が限られてくるため、事前に確認し、仕上がりのイメージを持って選ぶことが大切ですね。
外壁塗料・業者選びの注意点

この項では外壁塗料選びに関して、業者の見分け方を解説します。悪徳業者の営業トークの嘘について、予備知識を持っておきましょう。
高額なオリジナル塗料
営業トークの中で、高額な塗装費用の理由に、あるいはその逆に値引きの理由として、オリジナル塗料使用を挙げる業者があります。
高性能な新しい塗料は簡単に作れるものではありません。したがって、そのような話の場合真偽を疑った方がよく、事実であったとしても経年劣化や下地との相性などが十分検証されていないという不安が残ります。「20~30年もつ」といわれても、その業者でしか扱っていない以上、確認のしようもありません。
塗料代は値引きできない
見積もりの中で塗料の代金が大きく値引きされている場合も注意が必要です。外壁用の塗料は、種類は多いものの、安く出回ることは少なく、考えられるのは古い塗料をどこからか調達した場合です。
塗料は製造から1年以内に使用することが推奨されています。消費期限はありませんが、古くなると攪拌がうまくいかなくなったり、溶剤が揮発してゲル化したものを薄めて使っても、所期の性能を発揮するのは難しいです。
一度開封した塗料は急速に性能が落ちます。とくに防汚、防カビ、さび止め、耐熱など機能性の塗料は使用期限が短いです。
正当な性能のものを見合った価格で使ってもらうのがおすすめでしょう。
塗料の種類が分からない見積もり
ざっくりとした内容の見積もりの場合は、塗料の価格相場を調べられないようにされている可能性もあります。耐用年数もあいまいなまま、5年ほどで劣化が進んでしまうのでは困ります。
また、施工内容の記載があいまいな場合、3回塗りが必要なところ、2回しか塗らないという事も考えられます。
使用する塗料や工程を明記した見積もり以外は、依頼対象にならないと考えてください。
塗料の希釈
外壁塗料を薄めすぎると、すぐには分かりにくいコストダウンとなりますが、塗膜が薄くなることで、様々な問題が生じます。希釈は塗料の性能を最大限に発揮させるために、規定通りの適切な状態で行う必要があります。
薄めすぎによって、以下のような問題が発生します。
- 塗膜の厚さが不足する =塗膜が薄くなると保護機能が低下し、外壁が劣化しやすくなる。
- 耐用年数が低下する =塗料を薄めすぎると、本来の耐用年数よりも短くなる。
- 発色の悪さ =薄めた塗料は発色が悪く、下地の色が透けて見えることもある。
- 汚れが付きやすくなる =薄めた塗料は汚れがつきやすく、光沢が落ちやすい。
まとめ

この記事では、外壁塗装に用いられる塗料の種類や特徴、選び方のポイントなどを詳しく解説してきました。
ご自宅の外壁塗装の成功には、適切な塗料選びが不可欠です。塗料の種類によってメリット・デメリット、価格、耐用年数が異なるため、外壁の材質や劣化状況、予算、求める耐用年数を総合的に考慮する必要があります。
特に人気の高いシリコン系やフッ素系の塗料は、耐久性や耐候性に優れています。安価な塗料は頻繁な塗り替えが必要になり、長期的にはコスト高になる可能性があります。また、家の外壁の劣化状況によっては下地処理や補修も必要です。
業者選びはペイプロをご利用ください
外壁塗装工事では、実績のある信頼できる業者選びが重要です。業者選びに悩んでいるようであれば、ペイプロをご利用ください。ペイプロでは口コミ評価4.2以上の優良塗装業者を厳選して紹介しています。無料診断で適切な塗料選びと優良業者選びができるので、ペイプロを活用して満足のいく外壁塗装を実現しましょう。