マイホームの外壁選びにおいて「アルミサイディング」は耐久性や軽量性から注目される外壁材の一つですが、一方で「選んで後悔した」という声も少なくありません。
この記事では、アルミサイディングで実際に後悔したという体験談を踏まえ、理由や対策ポイントを解説します。後悔のない外壁選びのために、ぜひ参考にしてください。
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監修者:井上咲
保有資格:宅地建物取引士
ビルオーナー業にてテナントとの契約業務、商業ビルの買収、不動産管理などを担当。現在は専業ライターとして、専門知識や実務経験を活かし、数多くの不動産関連メディアにてライティングやディレクションに携わっている。
アルミサイディングでよくある後悔とは?

アルミサイディングを選んだものの、実際に暮らし始めてから「こんなはずではなかった」と感じる人も少なくありません。
よくある後悔には、以下のようなものがあります。
- 思ったよりへこみやすい
- 夏場に表面が波打って見える
- デザインの選択肢が少ない
- 塗装のメンテナンスが意外と大変
- 断熱性が期待したほどではなかった
- 初期費用は抑えられたが、トータルコストが意外と多くかかった
アルミサイディングは、軽量でサビに強く人気の外壁です。しかし、導入する際には周辺環境などとの相性を理解していなければ後悔に繋がります。
では、なぜこのような後悔が生まれてしまうのか、原因を詳しくみていきましょう。
アルミサイディングへの後悔が起きる原因

アルミサイディングで後悔する原因は、主に以下の5つです。
- アルミサイディングの特性を正しく理解していない
- 立地条件との相性を検討していない
- 初期費用のみに注目し、長期的なコストを考慮できていない
- 外観デザインの制約を把握していない
- 断熱性能を把握していない
それぞれ詳しくみていきましょう。
原因1.アルミサイディングの特性を理解していない
アルミサイディングで後悔する最大の原因は、素材特性の理解不足です。軽量でさびにくい、耐食性が高いなど、良い部分だけを見てしまうと後悔につながります。
具体的に、アルミサイディングには以下のような特性があります。
- 衝撃によりへこみや傷がつきやすい
- 金属の質感により、デザインが冷たい印象になりやすい
- 軽音で薄いため防音性が低い
アルミは柔らかい金属であるため、衝撃によるへこみや傷がつきやすいです。特に活発なお子さんがいる家庭や、物がぶつかりやすい狭い場所では問題になりがちです。
また、金属特有の質感が冷たい印象を与えることもあります。さらにアルミは熱伝導率が高いです。断熱材の性能や施工次第では、夏は暑く、冬に寒さを感じやすくなります。
アルミサイディングには多くのメリットがある一方で、素材特有の注意点も存在します。見た目の印象や快適性、耐久性を総合的に理解せずに、一部の利点だけで選んでしまうと、後悔につながる可能性があります。
原因2.立地条件との相性を検討していない
住環境、つまり立地条件とアルミサイディングの相性を十分に検討しないまま採用してしまうと、後悔につながることがあります。
たとえば、沿岸部ではアルミの「塩害に強い」という特性が活かせます。しかし、台風が多い地域では飛来物によるへこみのリスクが高まります。また、日当たりの良い南向きの壁面では、太陽光による熱膨張でサイディング表面が波打って見えることもあります。特に濃い色の外壁は熱を吸収しやすいため、この現象が目立ちやすい傾向にあります。
一方、北側のように日陰になりやすい場所では、湿気がこもりやすくなります。コケやカビの発生につながることもあるため注意が必要です。
このように、自宅の気候や周囲の環境に合った外壁材を選ばなければ、結果として後悔する原因になりかねません。
原因3.初期費用のみに注目して長期的なコストを計算していない

アルミサイディングを選ぶ際に、初期費用だけを重視してしまうと、後悔の原因になることがあります。
たしかに、アルミサイディングは材料費・施工費ともに高くなる傾向があります。一方で、アルミは錆びにくく耐久性が高いため、塗装の劣化や外壁の傷みにくさが特徴です。そのため、10〜20年ごとの再塗装だけで済むことが多く、長期的に見ればコストを抑えられます。
ただし、どんな外壁材でも経年劣化は避けられません。アルミサイディングも塗膜が劣化するため、定期的な再塗装は必要です。再塗装の費用は一般的に1回あたり約50万円ほどと言われています。また、万が一の際の補修費用も発生する場合があります。
このように初期費用だけでなく、再塗装や補修などを含めた「トータルコスト」の見通しが重要です。短期的な価格にとらわれすぎると、のちのちの出費に驚くことになりかねません。

原因4.外観デザインの制約を把握していない
実現したい外観デザインのイメージと、アルミサイディングでの仕上がりにギャップが生じ、後悔につながることもあります。
アルミサイディングは、金属特有のシャープでモダンな印象を演出できます。一方で、デザインのバリエーションは限られているのが実情です。
アルミ特有の金属感のある質感は無機質で冷たく見えることがあります。ナチュラルで温かみのある外観を好む人にとっては、不向きかもしれません。
こうしたミスマッチを防ぐためには、施工前に実物サンプルや施工事例を確認しましょう。自分の理想とアルミサイディングの特性が合っているかを事前によく検討することが大切です。
原因5.断熱性能を把握していない
アルミサイディングの断熱性能に関する誤解や、期待のしすぎが後悔の原因になることもあります。
アルミニウムは熱を伝えやすい金属のため、サイディング材そのものには高い断熱効果は期待できません。快適な室内環境を保つには、断熱材との組み合わせが欠かせません。
近年では、裏側に断熱材を充填した製品も増えています。ただし、その性能は使用する断熱材の種類や厚みによって大きく異なります。
また、施工時にわずかな隙間があると、断熱効果が大きく損なわれてしまいます。断熱性を重視する場合は、断熱材の性能や、施工の丁寧さにも注意が必要です。
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アルミサイディングで後悔した体験談

ここでは、実際にアルミサイディングを選び「後悔した」と感じた方の体験談を紹介します。
もちろん、体験談はあくまで個人の感じ方によるものです。ただし、住環境や希望条件と照らし合わせることで「自分にとってのリスク」を事前に把握できます。
後悔のない外壁選びのために、ぜひこれらのリアルな声を参考にしてください。
へこみが目立って後悔している
「新築時にデザイン性を重視し金属サイディングを選びました。シャープな見た目が気に入っていましたが、数年後、遠目からでも分かるへこみができていてショックを受けました。一度気になると部分ばかり目につき、光の加減でさらに目立ちます。もっと衝撃に強い素材を選ぶか、物が当たりにくい設計を考えるべきだったと少し後悔しています。」(Aさん・30代)
この体験談では、アルミサイディングが衝撃に弱いためにへこみにショックを受けたという内容です。思わぬ接触や飛来物があると、へこみは避けられません。
金属サイディングを採用する際には、設計段階での衝撃対策や素材選びも重要です。
気温によっては波打って見える
「モダンな印象にしたく、濃い色の金属サイディングを選びました。夏の特に日差しが強い日、壁面が微妙に波打って見えることに気づきました。業者によると金属の熱伸縮のため、特に広い壁や濃色系では高温時に起こりうるとのこと。見た目の美しさを期待していただけに少しがっかりしました。明るい色なら目立たなかったかもしれないと後悔しています。」(Bさん・40代)
金属特有の熱膨張は、特に濃色系や日射量の多い立地で顕著になる可能性があります。デザイン性だけでなく、物理的な特性と見た目の変化も理解しておきましょう。
塗装の劣化で外観のきれいさを保てない

「築10年過ぎから塗装の色褪せが気になり始めました。シンプルな黒色を選んだのですが、経年劣化で少し青みがかったような、想像とは違う色合いに変化したように感じます。もっと汚れが目立ちにくい色や、経年変化が味わいになる色選びをすれば良かったと後悔しています。思ったより早く外観の印象が変わりました。」(Cさん・50代)
アルミサイディング自体は錆びに強いですが、表面の塗装は紫外線や風雨の影響で徐々に劣化します。塗料や色選び、メンテナンス計画も考慮する必要があります。
信頼できる施工業者の選定に苦労している
「アルミサイディングの外壁塗装時、下地処理を適切に行ってくれる業者を見極めるのが大変でした。親水性塗料も考えましたが、下地処理が不十分では意味がないため、今回は中堅級のシリコン塗料にしました。今回の塗装が良ければ、次回はより良い塗料を検討したいです。」(Fさん・口コミより)
この口コミでは、外壁塗装時における業者選びの難しさが語られています。業者選定を間違えると、満足のいく塗料選びができないおそれもあります。
アルミサイディングへの後悔を防ぐポイント

ここまでは、アルミサイディングでの後悔を紹介しました。正しい知識を持った上で適切な判断を行えば、後悔のない外壁塗装が可能です。
ここでは後悔を防ぐポイントを7つご紹介します。
目的と優先順位を整理する
まず外壁材選びで何を最も重視するのか、目的と優先順位を明確にすることが大切です。
アルミサイディングでは、全ての要望を100%満たすのは難しいです。そのため、妥協できる点を明確にすることで後悔のない選択ができます。
- 初期費用
- メンテナンス性
- デザイン性
- 断熱性
- 耐久性
例えば、メンテナンスは許容できるならアルミサイディングは有力候補です。しかし、初期費用抑制や自然素材風デザインが良いなら、他の外壁材も比較検討が必要です。
立地条件との相性を確認する
建物の立地条件とアルミサイディングの特性との相性も重要なポイントです。
たとえば、海が近い沿岸地域では塩害に強いというアルミの利点が活かせます。しかし、台風が多い地域や強風の場所では、飛来物によるへこみリスクが高まります。周囲の環境や気候風土を総合的に分析し、適切な外壁材を選ぶことが重要です。
下地と断熱材の素材や状態を確認する

アルミサイディングの性能を最大限に引き出すには、下地と断熱材の状態が重要です。特にリフォームでカバー工法を行う場合、施工後に不具合が発生するリスクがあります。既存壁の劣化や腐食、雨漏りの有無を確認しましょう。
また、新築・リフォーム問わず、断熱材の種類や厚みを確認してください。断熱材の性能と施工精度によって、住環境の質が大きく左右されるため、事前のチェックは不可欠です。
耐久性・耐食性を高める
アルミサイディングにはグレードがあり、選ぶ製品によって耐久性や耐食性に差があります。フッ素系塗料や無機系塗料を施した高耐候性の製品を選べば、紫外線や風雨にさらされても劣化を抑えられます。これにより、塗装の色あせやチョーキング現象の発生を遅らせ、美観を長持ちさせることができます。
また、定期的な点検と清掃によって、早期のトラブル発見と予防が可能になります。
断熱性能を強化する
アルミは熱を通しやすい素材であるため、サイディング自体に断熱性能を求めることはできません。したがって、断熱性を確保するためには、裏面に高性能な断熱材が一体化された製品を選ぶことが重要です。
断熱材の種類や厚みによって、室内の快適性や冷暖房効率が大きく変わります。断熱性能を重視する場合は、製品選定に加え、施工精度や気密性にも注意を払う必要があります。
デザインの確認と工夫
アルミサイディングはシャープでモダンな印象を演出できますが、自然素材風のデザインには限界があります。このような外観デザインの限界を把握しておく必要があります。
太陽光の反射や光の加減でムラや歪みが目立つ場合もあるため、事前に施工事例や大判サンプルを確認し、理想のイメージと現実のギャップを埋めておくことが大切です。表面の凹凸やカラーの工夫によって、見た目の印象を調整することも可能です。
長期的なコストの見通しを立てる

アルミサイディングは初期費用がやや高めですが、耐久性に優れ、錆びにくいため、長期的にはメンテナンス費用を抑えられる可能性があります。
ただし、表面塗装の経年劣化は避けられないため、15〜20年ごとの再塗装が必要になります。将来的な出費も考慮して、再塗装費用や補修費用を含めた総コストを試算しておくことが大切です。初期費用の安さだけで判断すると、長期的には割高になるケースもあります。
最適な業者を選ぶ
アルミサイディングの施工は、製品の特性を理解したうえで正確に行える専門知識と経験が求められます。適切な業者を選ぶことで、断熱材の施工精度、下地処理、仕上がりの美しさまで品質が大きく左右されます。
施工不良があると、断熱性や防水性、美観に悪影響を及ぼすため、過去の施工実績や口コミ、アフター対応の実績を確認して、信頼できる業者に依頼することが不可欠です。
ペイプロでは、お客様の状況に合わせた優良業者を紹介することができます。
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アルミサイディングと他の外装材との違い

外壁材にはアルミサイディング以外にも様々な種類があり、それぞれ特徴が異なります。代表的な外壁材で比較してみましょう。
外装材 | 耐久性 | 断熱性 | 初期費用 | メンテナンス性 | デザイン性 |
---|---|---|---|---|---|
アルミサイディング | ○ | △ | ○ | ○ | △ |
窯業系サイディング | △ | ○ | ◎ | △ | ○ |
ガルバリウム鋼板 | ○ | △ | ○ | ○ | ○ |
樹脂サイディング | ○ | ○ | △ | ◎ | △ |
タイル外壁 | ◎ | ○ | △ | ◎ | ○ |
塗り壁 | △ | ○ | ○ | △ | ◎ |
アルミサイディングは軽量で耐食性に優れているものの、断熱性とデザイン性では他の外装材に劣る場面があります。立地条件や優先する性能に応じて適切な外装材を選択することが重要です。
アルミサイディングが向いているどうかの判断基準

アルミサイディングにはメリット・デメリットがあり、全ての家に最適な外壁材というわけではありません。ご自身のライフスタイル、価値観によって向き不向きがあります。
ここでは、アルミサイディングが向いているケースと向いていないケースについて、具体的な判断基準を解説します。
アルミサイディングが向いているケース
アルミサイディングが特にメリットを発揮しやすいのは、以下のようなケースです。
- 軽量性を重視する
- 塩害が懸念される地域の家
- メンテナンスの手間を少しでも減らしたい
- モダン、シャープ、クールな印象の外観を好む
- 断熱性をカバー工法で向上させたい
これらの条件に当てはまる場合は、アルミサイディングの導入を前向きに検討する価値があるでしょう。
アルミサイディングが向かないケース
一方で、以下のような場合には、アルミサイディング以外の外壁材を検討した方が良いかもしれません。
- 衝撃を受ける可能性が高い環境にある
- デザインの自由度や温かみのある質感を重視する
- 初期費用をできるだけ抑えたい
- 極端な気候条件の家
- DIYでの補修を頻繁に行いたい
これらの点に該当する場合は、アルミサイディングのデメリットがより大きく影響する可能性があるため、他の外壁材との比較検討をより慎重に行うことをお勧めします。
アルミサイディングでよくある質問

最後に、アルミサイディングについて、特に多く寄せられる質問をまとめました。外壁塗装やアルミサイディングへの理解を深め、不安を解消する一助となれば幸いです。
アルミサイディングは台風や雹(ひょう)で壊れやすい?
アルミサイディングは軽量で扱いやすい外壁材ですが、強風や雹(ひょう)による衝撃には注意が必要です。とくに、大きな雹(ひょう)や飛来物が当たると、へこみや表面の傷が発生しやすい傾向があります。これはアルミが比較的柔らかい金属であるからです。
ただしこれはアルミサイディングに限らず、他の外壁材でも同様のリスクは存在します。しっかりした下地に適切に固定されていれば、ある程度の耐風圧性は確保可能です。JIS(日本産業規格)にもとづいた製品であれば、一般的な台風程度で大きな問題が生じることはまれです。
心配な方は、厚みのある製品や耐衝撃性を高めた製品の選定、および火災保険の補償内容の確認をしておくと安心です。
DIYで補修できる範囲は?
アルミサイディングのDIY補修は非常に限定的です。たとえば、ごく小さな傷や塗装のはがれであれば、補修用タッチアップ塗料や市販の補修材で目立たなくすることができます。
しかし、シーリング(コーキング)の打ち替えや、へこみの修復、本格的な再塗装といった作業には専門的な技術と道具が必要です。施工ミスは雨漏りや内部の腐食につながる恐れもあるため、あくまで美観の軽微な補修にとどめるべきです。
構造や防水に関わる補修は、必ず専門業者に依頼することをおすすめします。
アルミサイディングの撤去やリフォーム費用がいくらかかる?
アルミサイディングのリフォーム費用は、施工方法・建物の規模・地域によって変動しますが、以下は一般的な目安です。
撤去費用 | 1平方メートルあたり2,000円~5,000円程度 | ●撤去費用+廃材処理費用※アスベスト含有の場合はさらに高額になる可能性あり |
---|---|---|
カバー工法(既存の外壁の上に新たな外壁材を施工) | 30坪程度の住宅で150万円~250万円程度 | ●新しいサイディング材費+施工費+足場代+付帯部の処理費 |
張り替え(既存の外壁を撤去して新たな外壁材に交換) | 30坪程度の住宅で180万円~300万円程度 | ●撤去費+新しいサイディング材費+施工費+足場代※カバー工法よりも高額になる |
これらはあくまで一般的な目安であり、個々の状況によって費用は大きく異なります。正確な費用を知るためには、複数の専門業者に見積もりを依頼することが重要です。
まとめ

アルミサイディングは、軽量性や耐久性、耐食性といった優れたメリットを持つ外壁材です。しかし、特性を十分に理解できなければ「後悔した」という結果につながりかねません。
この記事で解説した体験談や後悔を防ぐポイントなどを参考に、信頼できる専門業者に相談しましょう。ご自身の住まいに最適な外壁材を選び、快適で満足のいくマイホームを実現してください。
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