外壁塗装は住宅の美観と耐久性を保つために重要なメンテナンスです。一方で、費用は塗料の種類や施工範囲によって大きく変わるため、
「近所の家は80万円で塗装したらしいけど、うちはどうだろう?」
「業者によって見積もり金額が全然違うのはなぜ?」
「適正な価格の見極め方は?」
などと疑問をもつ方も多いでしょう。外壁塗装の適正価格を理解することはもちろん、平米単価の決まり方も大切です。
この記事では、外壁塗装の平米単価に影響する要素や工事内容、費用相場を解説します。
外壁塗装を安く行うポイントもご紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。

監修者:石坂貴史
保有資格:日本証券アナリスト協会認定 資産形成コンサルタント、一種証券外務員資格、2級FP技能士、AFP など
現在、経済専門メディアサイト「マネーシップス Money Ships」の代表運営。日本証券アナリスト協会認定 資産形成コンサルタントABCとして、為替相場(FXや株など)の分析、ライフプランニング相談業務の仕事をしています。
外壁塗装の平米単価の概要

まずは外壁塗装における平米単価について、概要を押さえておきましょう。
外壁塗装の平米単価とは
家の外壁塗装を検討する際、多くの方が気になるのが「いったいいくらかかるのか?」ということでしょう。外壁塗装の費用を考える上で欠かせないのが「平米単価」です。
平米単価とは、1平方メートルあたりの塗装費用を指します。この数字から、ご自宅の外壁面積を掛け合わせることで、総工事費の概算を出すことが可能です。
なお平米単価には、塗料代、人件費、足場設置費などの全工程が含まれ、標準的な戸建て(30坪)の場合、総費用は60~90万円が相場になっています。
一般的な単価相場
外壁塗装の平米単価は、使用する塗料の種類によって大きく異なります。費用の目安としては、建坪30坪(約119㎡)の標準的な戸建ての場合、総費用は60~90万円が相場で、この場合の平米単価は5,000~7,500円/㎡の範囲です。
塗料タイプ | 耐用年数 | 単価相場(円/㎡) |
アクリル | 3~5年 | 1,000~1,200 |
ウレタン | 5~7年 | 1,600~2,000 |
シリコン | 7~15年 | 1,800~3,500 |
フッ素 | 15~20年 | 3,000~4,800 |
無機 | 15年以上 | 3,500~ |
光触媒 | 特殊機能付加 | 4,300~5,000 |
上表のとおり、塗料によって単価相場や耐用年数が異なります。塗料タイプは、建物の種類や塗装の目的によって選ぶと良いでしょう。
外壁塗装の平米単価の算定方法

外壁塗装の平米単価の算定式は、主に「簡易計算式」と「実測に基づく計算式」の2つの方法で計算されます。
1. 簡易計算式(推測用)
塗装面積(㎡)=建坪数(坪)×3.3(㎡/坪)×1.2(係数)
平米単価(円/㎡)=費用合計 ÷ 塗装面積
※1.2の係数は建物形状により1.1~1.7で変動。
※例えば、30坪の住宅では約119㎡と推計します。
2. 実測に基づく正確な計算式
平米単価(円/㎡)=(塗料代+工事費+足場代+付帯費用) ÷ 実際の塗装面積
- 塗料代:塗料種類(シリコン1,800~3,500円/㎡、フッ素3,800~4,800円/㎡など)
- 足場代:足場架面積(外周+8m)×高さ×800~1,200円/㎡
- 工事費:16~25人工×1.5~2万円/人工
相場は5,000~7,500円/㎡で、30坪住宅で総額60~100万円が標準的な費用です。実際の見積もりでは、各工程の単価が明記されているかが、適正な価格かどうかの判断ポイントとなります。
外壁塗装の平米単価に影響する主な要素5つ

外壁塗装の平米単価に影響するのは、塗料の種類だけではありません。ここでは、外壁塗装の平米単価に影響を与える5つの要素を詳しく解説します。予算の用意や、業者選びの参考にしてください。
塗料の種類
1. アクリル塗料
- 価格: 1,500円/㎡
- 耐用年数: 5~7年
- 特徴: 低コストで施工しやすいが、耐久性が低く短期間で塗り替えが必要。
2. ウレタン塗料
- 価格: 1,950円/㎡
- 耐用年数: 8~10年
- 特徴: アクリルより耐久性が高く、耐候性に優れる。中価格帯。
3. シリコン塗料
- 価格: 2,300~3,500円/㎡
- 耐用年数: 10~15年
- 特徴: コストパフォーマンスに優れ、汚れにくさと耐久性を両立。現在の主流。
4. フッ素塗料
- 価格: 4,300~4,800円/㎡
- 耐用年数: 15~20年
- 特徴: 最上位の耐候性・耐汚染性を持つが高価。航空機にも使用される高性能樹脂。
5. 無機塗料
- 価格: 5,300円/㎡
- 耐用年数: 25~30年
- 特徴: 無機成分で化学変化に強く、超長寿命。耐火性も高い。
塗料の選び方として、予算重視の場合は アクリル/ウレタン、バランス型を選ぶならシリコン素材がおすすめです。また、長期耐久を重視する際はフッ素/無機、機能性を選ぶなら遮熱・光触媒塗料などもあります。シチュエーションに応じて、適切な塗料を選びましょう。
※価格は施工費含まず、建物状態や地域で変動
建物の高さ・形状
建築物の高さが増すと足場の設置面積が拡大し、単価に影響します。
例えば、建築面積が同じ「平屋」と「2階建て」の外壁塗装で比較すると、2階建てのほうがより多くの足場が必要となるため、単価も高くなるでしょう。
外壁の状態
外壁の劣化度合いによっても単価は変動します。外壁の状態が悪いと、下地処理の負担が増え、追加費用が発生する場合があるでしょう。
施工業者の種類
施工業者の種類によっても、単価は変わります。
ハウスメーカーなど大手に依頼する場合、施工は別業者が対応するケース(下請け)がほとんどです。そのため、中間マージンが発生し、単価も高くなります。
一方、地元業者は自社施工が多いため、比較的低い単価で依頼できるでしょう。
施工時期
施工時期も、外壁塗装の平米単価に影響する要素の1つです。
外壁塗装の依頼は、塗装を行いやすい春や秋に集中します。この時期には、以下のように平米単価が上昇するのが一般的です。
例:シリコン塗装標準単価3,000円/㎡ → 繁忙期3,300~3,450円/㎡
一方、真夏や冬場では平米単価は下がる傾向にあります。
【具体例】戸建て住宅の外壁塗装にかかる平米単価の算出

外壁塗装の平米単価は、さまざまな要素が絡んで決まります。
ここで、平米単価の具体的な計算方法を確認してみましょう。(建坪30坪の住宅の場合)
1. 塗装面積の計算
簡易計算式:塗装面積=30坪×3.3㎡/坪×1.2=118.8㎡≒119㎡
※係数は一般的な1.2を使用(1.1~1.7で調整可能)
※係数1.2は、外壁塗装面積を計算する際に一般的に使用される係数の1つ。窓や玄関などの塗装しない部分を考慮に入れた場合に、この係数が使われることが多い。このため、今回の簡易計算式では係数を1.2として扱う。
2. 総費用の内訳と平米単価
項目 | 単価(円/㎡) | 計算式 | 費用(円) |
塗料代 | 3,000 | 119㎡ × 3,000 | 357,000 |
工事費 | 2,500 | 119㎡ × 2,500 | 297,500 |
足場代 | 800 | 180㎡架面積 × 800 | 144,000 |
付帯費用 | 500 | 119㎡ × 500 | 59,500 |
総費用 | – | – | 858,000 |
平米単価 | 7,210 | 858,000 ÷ 119㎡ | 7,210円/㎡ |
詳細内訳:
- 塗料: シリコン系(耐用年数12~15年)
- 工事費: 20人工 × 1.5万円/人工 = 30万円
- 足場架面積: (外周30m + 8m)× 高さ6m = 180㎡
3. 相場比較
- 標準単価: 5,000~7,500円/㎡。
- 本例の7,210円/㎡は相場範囲内。
※注意点:実際の見積もりでは「一式」表記を避け、工程別単価(例: 下塗り630円/㎡)を確認。塗料種別・建物形状で係数や単価が変動。
上記のような流れで外壁塗装の平米単価を調べられます。
外壁塗装の平米単価|塗料別の相場を解説

外壁塗装は、住宅にとって10~20年に一度の大きな投資です。「外壁塗装の費用の7割が決まる」といわれる塗料選びに失敗すると、思わぬ追加費用がかかったり、短期間で再塗装が必要になったりする可能性があります。
近年、外壁塗装の塗料は飛躍的に進化し、従来のアクリル塗料に加え、シリコン系やフッ素系といった高耐久塗料が主流です。さらに「自ら汚れを分解する光触媒塗料」や「夏の暑さを和らげる遮熱塗料」など、機能性に特化した新製品も次々と登場しています。
一方で、塗料の種類が増えるほど「どれを選べばよいかわからない」という方も多いでしょう。
ここからは、各塗料の単価や特徴について詳しく解説します。
シリコン塗料の単価と特徴
シリコン塗料は、アクリル樹脂とシリコン樹脂を混合した合成樹脂塗料です。外壁や屋根の塗装に広く使用されています。シリコン樹脂の含有率は製品によって異なり、含有率が高いほど高性能です。
また、紫外線や熱に強いのも特徴で、最高600℃まで耐える高耐熱品種もあります。光沢を8~15年維持することができ、これはアクリル塗料の2倍の長さです。さらに、雨水や泥、排ガスを弾き、汚れの付着を低減する防汚性もあります。
シリコン塗料の製品タイプ
製品タイプは、作業性重視の1液型、塗料と硬化剤を混合する高性能の2液型、そして水性や溶剤型があります。外壁塗装の費用は、平米単価で2,300~3,500円で、100㎡の場合23万~35万円が目安です。耐用年数は約10~15年が一般的になります。
シリコン塗料は、外壁と屋根に使用されますが、屋根は塗装面積が小さく、下地処理が簡易なことが多いでしょう。一方で、外壁は防汚性や耐候性が求められるため、高単価になりやすいため注意が必要です。
【一覧表】シリコン塗料の特徴
項目 | シリコン塗料の特徴 |
単価相場 | 1,800~3,500円/㎡(平均2,500~2,800円) |
耐用年数 | 8~15年(標準10~15年) |
100㎡住宅総費用 | 80~90万円(ウレタン塗料比+15~25万円) |
主なメリット | ・耐候性/耐熱性(600℃耐性)・撥水性/防汚性(シロキサン結合構造)・透湿性 |
デメリット | ・塗膜硬化によるひび割れリスク・品質差が大きい・専門施工が必要 |
施工タイプ | 水性(外壁向き)・油性(屋根向き) |
代表製品例 | エスケー化研「一液マイルドシリコン」/日本ペイント「ファインシリコンフレッシュ」 |
フッ素塗料の単価と特徴

フッ素塗料の概要
フッ素塗料は、主成分に強固なフッ素樹脂を含み、耐用年数が15~20年と長寿命です。特に紫外線や酸性雨に対する耐候性が高く、航空機にも使用されるほどの強度があります。
雨水で汚れが洗い流される自浄効果があり、汚れが付きにくく防カビ・防藻性能に優れているのも特徴です。一方で、フッ素塗料はシリコン塗料よりも高価で、施工条件が厳しいことがデメリットとして挙げられます。
適正湿度が85%以下で、5℃以下や35℃以上の環境では施工できません。また、再塗装間隔が短いと密着不良のリスクがあります。塗膜が硬いため、基材のひび割れに追従できず、クラック発生時に共に割れてしまう恐れもあるでしょう。
フッ素塗料の施工費用は、単価で3,500~4,800円/㎡で、シリコン塗料よりも高価ですが、無機塗料よりは安価に利用できます。30坪の戸建ての場合、外壁塗装や付帯工事を含めて約110~160万円ほどの予算が必要です。
【一覧表】フッ素塗料の特徴
項目 | フッ素塗料の特徴 |
単価相場 | 3,500~4,800円/㎡(シリコン塗料の約1.6倍) |
耐用年数 | 15~20年(シリコン塗料より5~7年長い) |
30坪住宅の総費用 | 110~160万円(付帯工事含む) |
主なメリット | ・紫外線/酸性雨に最強の耐候性・低汚染性(親水性+低摩擦)・光沢維持可能 |
デメリット | ・高コスト・塗膜が硬くひび割れリスク・再塗装時に特殊な下地処理が必要 |
施工難易度 | 高い(技術力のある業者選定が必須) |
適応事例 | 長期居住・沿岸部・光沢仕上げ希望住宅 |
アクリル塗料の単価と特徴
アクリル塗料の単価や特徴について詳しく解説します。
アクリル塗料の種類や単価
アクリル塗料は、アクリル樹脂を主成分とする塗料で、水性と油性の2種類があります。かつては外壁塗装にも使用していましたが、現在は主に内装用として扱われることの多い塗料です。ただし、外装用としても使用される「ピュアアクリル」があり、これは従来のアクリル塗料とは性能が異なります。
価格は従来のアクリル塗料が1平方メートルあたり900~1,300円程度で、外装用のピュアアクリルは1平方メートルあたり3,500円程度です。
耐久性については、従来のアクリル塗料は3~5年程度である一方、ピュアアクリルは15年以上持続します。また、アクリル塗料は発色性が良く、カラーバリエーションが豊富なのも強みです。
ただし、防汚性が低く、汚れが付きやすいのがマイナス面でしょう。また、湿気を通しやすいため、内部結露のリスクがあります。時間が経つと硬くなり、ひび割れが発生しやすいことも気を付けなければならないポイントです。
【一覧表】アクリル塗料の特徴
項目 | アクリル塗料の特徴 |
単価相場 | 900~1,300円/㎡(シリコン塗料の約半額)ピュアアクリル:3,500円/㎡程度 |
耐用年数 | 3~5年(標準品)ピュアアクリル:15年 |
30坪総費用目安 | 約70~110万円(シリコン比で15~25万円安) |
主なメリット | ・発色性が良く色バリエーション豊富・透湿性が高い・重ね塗り適性あり |
主なデメリット | ・耐久性が低く3~5年で再塗装必要・塗膜硬化でひび割れ発生・防汚性が低い |
施工特性 | ・浸透性が高すぎる(内部結露リスク)・乾燥時間が短く作業効率良好 |
適応事例 | ・短期使用建物(取り壊し予定など)・店舗など頻繁な色変更が必要な場合 |
ウレタン塗料の単価と特徴

ウレタン塗料の単価や特徴について詳しく見ていきましょう。
ウレタン塗料の単価や性能
ウレタン塗料の施工単価は1,600~1,800円/㎡で、シリコン塗料よりも安く調達できます。例えば、30坪の住宅の場合、外壁塗装や付帯工事を含めた総費用は約90~120万円です。坪数別の目安としては、20坪で60~80万円、40坪で110~150万円になります。
ウレタン塗料は柔軟な塗膜が特徴です。また、緻密な塗膜が水の浸透を防ぐため、防錆性にも優れています。DIYに適した製品もあり、乾燥時間が短いため、個人利用でも広く扱える製品でしょう。
ただし、紫外線に弱く屋外使用ではシリコン塗料に比べて、耐用年数が2~3年ほど短いのがデメリットです。長期で使用する場合、メンテナンス費用にも目を向けなければなりません。また、経年とともにツヤが低下しやすいため、短期的なコストを重視する外装リフォームに向いているでしょう。光沢を維持するためには、トップコート(シリコンなど)との併用がおすすめです。
【一覧表】ウレタン塗料の特徴
項目 | ウレタン塗料の特徴 |
単価相場 | 1,800~3,000円/㎡(平均2,300~2,800円) |
耐用年数 | 10~15年(標準12年) |
30坪総費用例 | 60~87万円(外壁塗装・付帯工事含む) |
主なメリット | ・撥水性/防汚性・紫外線耐性(光沢保持率高い)・種類豊富(水性/油性/遮熱タイプ) |
主なデメリット | ・経年硬化でひび割れ発生・低粘度で施工難・再塗装時は下地処理必須 |
代表製品 | ・日本ペイント「ファインシリコンフレッシュ」:2,200円/㎡・関西ペイント「セラMシリコンⅡ」:2,300円/㎡ |
無機塗料の単価と特徴
無機塗料の優れている点や欠点などを確認していきましょう。
無機塗料とは
無機塗料は、有機成分にセラミックやケイ素などの無機成分を組み合わせた有機・無機ハイブリッド型が主流です。このタイプの塗料は、外壁塗装市場で約15%のシェアを誇ります(2024年時点)。価格は1平方メートルあたり3,500円から5,500円と高価です。一方で、耐用年数は20年以上と長く、紫外線に対する劣化が少ないため、色あせを防ぎやすいのが利点でしょう。
特に、不燃性で燃えにくいため、3階建てのマンションや店舗の外装に適しています。また、文化財建築や沿岸部の建築物にも向いており、防火性能と素材感の保持が可能です。
雨水で自然に汚れを洗浄でき、静電気防止効果でホコリが付きにくく、防カビ性能に優れているのも魅力でしょう。一方で、コンクリートやモルタルに適している分、高弾性基材には専用のタイプが必要で、初期費用が高くなることが欠点といえます。
【一覧表】無機塗料の特徴
項目 | 無機塗料の特徴 |
基本特性 | セラミック/ケイ素化合物を主成分とした無機質塗料 |
単価相場 | 3,500~5,500円/㎡(外壁塗装で最高価格帯) |
耐用年数 | 20~30年(製品によっては30年保証あり) |
耐候性 | 紫外線劣化極少(3000時間試験で95%光沢保持) |
防汚性 | 親水性が高く雨水で自然洗浄/静電気防止効果 |
防火性能 | 不燃性素材(文化財建築に採用例あり) |
適応素材 | コンクリート・モルタル(木材は不向き) |
代表製品 | 日本ペイント「アプラウドシェラスター」/大日化研「ランデックスコート」 |
施工注意点 | 高弾性基材には専用タイプ必要/下地処理が重要 |
外壁塗装にかかるその他の費用相場

「外壁塗装、思ったより高くて驚いた!」「見積もりを見ても、何がいくらかかるのかわからない…」これらの悩みを抱えている人は多いでしょう。足場代、下地処理、雨樋や破風などの付帯工事…これらの項目を理解せずに予算を組むと、後で大きな出費に驚くことになりかねません。足場代などの費用相場を知ることで、思いがけない予算オーバーを避けられるでしょう。
足場代の相場
足場代とは、外壁塗装工事の際に必要な仮設足場の設置・解体・運搬にかかる費用です。建物の外周と高さに応じた面積で計算され、単価が乗じられる形で算出されます。平米単価は600~1,100円/㎡。標準的な範囲は700~1,000円/㎡です。30坪の戸建ての総額は約15~23万円になります。
ただし、狭小地での施工の場合、運搬制約などが想定されるでしょう。追加で10~20%の費用がかかることがあるため、事前のチェックが必要でしょう。
実際の計算方法として、
足場費用=(建物外周+8m)×高さ×単価
高さの目安:
- 1階建て: 3.5m
- 2階建て: 6m
- 3階建て: 8.5m
具体例(外周20mの2階建て)
(20m+8m)×6m×1,000円=168,000円
上記のような算定方法になります。
養生・下地処理費用

養生費とは、外壁塗装工事で周囲への塗料飛散を防ぐための保護作業に必要な費用です。下地処理費用は、塗装の耐久性を高めるための事前工程にかかる費用を指します。
下地処理費用は劣化度合いで最大3倍の差が発生(例:軽微な洗浄のみと大規模補修の比較)するため、事前に把握しておきましょう。
【養生作業費用】
項目 | (円/㎡) | 単価30坪住宅の総額目安 |
養生シート設置 | 200~300 | 3.6~5.4万円 |
飛散防止ネット | 150~400 | 2.7~7.2万円 |
窓・ドア養生 | 300~500 | 5.4~9.0万円 |
【下地処理費用】
作業内容 | (円/㎡) | 単価補足条件 |
高圧洗浄 | 200~450 | バイオ洗浄含む |
ケレン作業 | 500~2,000 | サビ・剥離塗膜の除去 |
クラック補修 | 1,200~2,500 | 深さ3mm以上のひび割れ |
コーキング交換 | 700~1,500/m | 目地長1mあたり |
パテ埋め | 1,500~2,500 | 小孔・凹凸修正 |
【建物サイズ別総額例】
坪数 | (万円) | 養生総額下地処理総額(万円) |
30坪 | 8~15 | 15~50 |
50坪 | 13~25 | 25~85 |
60坪 | 16~30 | 30~100 |
付帯部(雨樋・破風・軒天など)の塗装費用

住宅保護のために雨樋(あまどい)、破風板(はふいた)軒天(のきてん)と呼ばれる耐久性向上に不可欠な部材があります。
付帯部について
- 雨樋:屋根から流れる雨水を集めて排水する装置。屋根の軒先に沿って配置される。
- 破風板:切妻屋根の三角形部分(妻側)に取り付けられた保護板。台風時の下からの風圧から建物を保護、火災時の延焼防止などの役目を果たす。
- 軒天:屋根の軒裏部分(外から見上げた屋根の裏側)。屋根裏の換気口として湿気排出や、外壁への直射日光・雨水接触を遮断などを担う
雨樋・破風・軒天も外壁塗装費用に影響を与えます。雨樋の場合、一般的な形状である半円型(標準型)雨樋は施工が容易なため費用が安く、塗装単価は1平方メートルあたり500~1,000円程度が相場です。50平方メートルの施工で25,000~50,000円程度になります。
一方で、特殊形状・デザイン型雨樋の場合、費用がかさむでしょう。例えば、曲線が複雑なデザイン性の高い雨樋は、1,000~2,000円/mと高価になります。職人の手作業が必要な部分が多く、塗装ムラを防ぐための技術も必要なためです。装飾部分が多い場合はさらに費用がかさむでしょう。
付帯部塗装の費用目安
総費用の目安(50m施工時)
- 半円型:25,000~50,000円
- 角型:30,000~60,000円
- 特殊型:50,000~100,000円
複雑な形状ほど業者の施工技術が重要になるため、見積もりを取る際は、必ず雨樋の形状を伝え、形状ごとの単価を明記してもらうことが大切です。
破風塗装と軒天塗装では、1mあたりの単価は800円から1,500円で、下地処理や塗料費が含まれています。
なお、外壁塗装同時施工は、足場代が共用できるため、単独施工比で30~50%の費用削減が可能です。
諸経費の内訳と注意点(管理費・交通費など)
管理費として現場監督人件費、工事保険料、廃材処分費(10,000~30,000円)、工具レンタル代など、標準費用30,000~50,000円(一式)が必要です。 「一式」表記のみの業者には、内訳開示を要求して詳細を確認すると良いでしょう(例:管理費50,000円→廃材処理15,000円+保険10,000円など)。
地元業者に依頼した場合、交通費は通常無料(車で30分圏内)となりますが、遠方業者の際は5,000~30,000円(高速料金・ガソリン代含む)が必要です(例:大阪→神戸: 10,000円程度、東京→千葉: 20,000円以上)。
外壁塗装の費用を抑える5つのポイント

外壁塗装は住宅メンテナンスの中でも特に高額な作業の1つです。ただし、ちょっとした工夫と知識で、費用を最大30%も抑えることができるでしょう。ただ安くするだけでなく、品質を落とさずにコストダウンする方法を知ることで、安易な費用の上乗せも防げます。
外壁塗装の費用を抑えるために大切な、5つのポイントを見ていきましょう。
自宅に近い塗装業者を選ぶ
地元の小規模業者は、社内で職人を直接手配することが多いため、大手業者のような中間マージン(取次料金)が発生しません。そのため、費用を抑えられるでしょう。また、近隣の業者であれば移動距離が短いため、交通費や移動時間が少なく済み、遠方の業者に比べて移動コストが軽減される点も魅力です。
さらに、現地調査や打ち合わせ時の移動時間が短縮されることで日程調整が容易になり、緊急対応やアフターサービスでも迅速に対応してもらえます。その結果、追加費用が発生しにくく、外壁塗装の費用を抑えることにつながるでしょう。また、地元の気候や環境に詳しいため、不適切な塗料選びによる早期劣化や再塗装のリスクを防げるのも大きなメリットです。
自社施工の業者に依頼する
中間マージンや余計なコストがかからない自社施工業者への依頼もおすすめです。
工事費用を20~30%程度削減できる場合もあるでしょう。大手ハウスメーカーと比較すると、最大100万円以上の差が生じることもあります。自社の職人が直接施工することで、現場状況をリアルタイムで管理し、不具合に対する即時対応が可能な点も見逃せません。
また、依頼者と施工者が直接対話できるため、デザイン変更や仕様調整もスムーズに行えるでしょう。施工からアフターサービスまで同一チームが担当する業者では、品質保証やメンテナンス時の対応が一貫しています。特に地域密着型の業者は、長期的なサポート体制が万全です。
補助金・火災保険などの利用を検討する

補助金を利用することで、工事費用の20~30%(上限20万円など)が助成され、例えば、50万円の工事が実質30万円で実現可能となります。省エネ塗料(遮熱・断熱)の使用が条件となるため、光熱費の削減や建物寿命の延長を目指す場合にもおすすめです。
地元業者の利用が条件となることが多い点には注意しましょう。
火災保険を活用することで、災害修復費の負担も軽減できます。特に台風などの自然災害での外壁損傷の修理費を、保険金でカバーすることが可能です。
ただし、補助金は「環境配慮型塗料の使用」などの条件が付く場合があることや、災害原因の証明が必要となる点については、予め把握しておかなければなりません。
外壁塗装の繁忙期を避ける
閑散期(冬・夏)には業者の需要が減少します。そのため、繁忙期(春・秋)と比べて10~30%の割引が適用されるでしょう。
この時期はキャンペーン価格や追加サービス(例えば足場代無料)を受けられる可能性が高いだけでなく、業者の予約が容易で、希望する日程に沿った施工が可能です。
また、繁忙期には新人職人が増える傾向がありますが、閑散期は、経験豊富な熟練職人が担当する確率が高まるため、確実な施工を期待したい方は閑散期を狙ってみましょう。
相見積もりをとる
複数の業者から見積もりを取ることで、外壁塗装の相場が明確になります。業者の比較により、不当な見積りも防げるでしょう。予算がある場合以外にも、高額請求の被害を避けたい方にもおすすめです。
また、見積もりが曖昧な表現(例:「一式」)や、3度塗り工程や下地処理の記載がない業者を、併せてチェックできます。他の業者の見積もりを根拠に値引き交渉を行うことも可能です。
まとめ

外壁塗装の費用は、単純に「塗料代×面積」で決まるものではありません。実際には、足場代や下地処理、付帯工事など多くの要素が総費用に影響します。
外壁塗装の費用は、塗料代だけでなく、足場代や下地処理費も含めた総費用が重要です。
また、自宅の状態を正確に把握することもポイントでしょう。築年数や付帯部の状態を確認し、必要に応じて補修費用を見込んでください。
長期的なコストも考慮する必要があります。安価な塗料を使う場合、再塗装サイクルが早くなり、結局高くついてしまうでしょう。10年保証以上の高耐久塗料は費用が高めですが、長期的にお得なケースもあります。
適正価格で質の高い外壁塗装を受けるには、3社以上の見積もりを比較しましょう。これにより、適正な平米単価かを判断できます。
記事でご紹介した情報を、外壁塗装を行う際の参考にしてみてください。
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