コーキングとシーリングの違いとは?役割・用途・施工方法を徹底解説

コーキングとシーリングの 違いとは?

コーキングとシーリングは、建物の防水や補修に欠かせない重要な作業です。両者に、違いはあるのでしょうか?そこで本記事では、コーキングとシーリングの違いを解説します。コーキング・シーリングの用途、施工方法もまとめてありますので、ぜひ参考にしてください。

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目次

コーキングとシーリングの違いとは?

コーキングとシーリングの違いとは?

建物の隙間を埋めて防水・気密性を高める工事には、「コーキング」と「シーリング」があります。一見同じように思われがちですが、実は本来の目的や使い方に違いがあります。
この記事では、目的や呼び方の違い、JIS規格の変更、材質と性能についても詳しく解説していきます。

コーキングとシーリングの目的

コーキングとシーリングの定義をご紹介します。

  • コーキングは、簡易的な充填作業で小さな隙間を埋める
  • シーリングは、本格的な目地処理で防水性・耐久性を高める

現在では両者の違いが曖昧になり、工事現場ではほぼ同義語として使われています。コーキング・シーリングの基本的な役割は「隙間を埋めて建物を保護すること」と覚えておけば問題ありません。

呼び方が異なる理由(業界による使い分け)

実際には、業界ごとにコーキングとシーリングの呼び方が分かれています。

  • 住宅業界では、「コーキング」という呼び方が根強い
  • ビルや大型建築業界では、「シーリング」が使われる

以上の違いは、過去に使用されていた材料や施工内容の違いに起因しています。現場での慣習が続いているため、同じ作業でも業界によって呼び方が変わるというわけです。

JIS規格の廃番(油性のコーキング剤)

かつては油性のコーキング剤が多く使われていましたが、耐久性や環境面の問題から現在ではほとんど使用されていません。

  • 2000年に油性コーキングのJIS(日本産業規格)は廃番になった(※1)
  • 2000年代から耐候性・耐久性に優れたシーリング剤が主流になった

建築業界全体で、高性能な材料や環境負荷の低い建材への移行が進んでいます。

主な材質と性能

現在使用されるコーキング・シーリング剤には、さまざまな種類があります。代表的な材質と性能をご紹介します。

コーキング・シーリング剤の材質性能
アクリル系比較的安価で扱いやすい
耐久性が劣るため、室内に適している
窓枠や内装の隙間埋めに使われる
ポリウレタン系密着性に優れている
コンクリートや金属など幅広い素材に対応する
紫外線に弱いため、上塗り保護が必要になる
変成シリコン系耐候性がとても高く、屋外に適している
上から塗装できるため、住宅の外壁によく使われる
変性エポキシ系非常に硬化後の強度が高い
防水性は比較的低い
構造体の補修やコンクリートの目地処理などに適している
ポリサルファイド系伸縮性と耐久性に優れている
高い耐候性が求められる箇所(ビルの外壁など)に使用される

使用する環境や求められる性能によって、適切な材料を選ぶことが重要です。

コーキング・シーリングの主な役割

コーキング・シーリングの主な役割

コーキング・シーリングは、ただ隙間を埋めるだけではありません。建物の機能性や耐久性を維持するために、とても重要な役割を担っています。ここでは、防水性・気密性の向上から美観維持まで、具体的な役割を分かりやすく解説します。

ひび割れの補修(耐久性の維持)

コーキング・シーリングは、建物に発生したひび割れを補修するために使用されます。

  • 外壁や基礎の小さなクラックを補修し、劣化の進行を防ぐ
  • 早期の対応により、建物の耐久性を維持する

ひび割れを放置すると雨水が内部に浸入し、構造材の劣化や腐食を引き起こします。劣化の早期発見と確実なコーキング・シーリングによる補修がとても重要です。

目地の充填(防水性・気密性の向上)

コーキング・シーリングには、目地を充填する役割もあります。

  • 外壁などの隙間を埋めて、水や空気の侵入を防ぐ
  • 建物の防水性と気密性を高める

外壁やサッシの隙間から雨水や風が侵入すると、内部の構造材が劣化しやすくなります。そのため住宅やビルの寿命を伸ばすうえで、コーキング・シーリングは欠かせない工程です。

防音性の確保

コーキング・シーリングは、防音効果を高める役割も担っています。建物の隙間を埋めることで、音の漏れや侵入を防ぐことができるからです。

  • 道路沿いの住宅では、車の走行音や隣室の生活音を軽減する
  • トイレや浴室、間仕切り壁などのプライバシー性を高める効果もある

窓サッシやドアの周辺に隙間があると、外の騒音が室内に入りやすくなってしまいます。住宅の快適性を高めるためにも、コーキング・シーリングは欠かせない作業です。

美観の維持

美観を維持するためにも、コーキング・シーリングは大切です。

  • 目地やひび割れをきれいに仕上げ、見た目の印象を良くする
  • 外観の美しさを保つことは、資産価値の維持にもつながる

ひび割れを放置していると、建物全体がが古びた印象を与えてしまいます。建物全体がきれいに見えるように、コーキング・シーリングによる定期メンテナンスを心がけましょう。

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コーキング・シーリングの用途と施工方法

コーキング・シーリングの用途と施工方法

コーキング・シーリングは、さまざまな場所で活躍しています。用途に応じた材料の選び方や正しい施工方法を知ることで、より効果的に建物を保護することができます。ここでは、主な用途や必要な道具、製品の種類、作業手工程について詳しく紹介します。

主な用途(住宅・ビルの外壁や室内の窓サッシ・浴室・キッチンなど)

コーキング・シーリングは、住宅からビルまで幅広い場所で使用されています。隙間を埋める必要がある場所なら、住宅やビルのさまざまな箇所に施工が可能です。

  • 外壁の目地やパネル間やガラス窓の固定部分
  • 室内の窓サッシや浴室・キッチンなどの水まわり

耐久性・防水性・気密性・防音性を向上させるために、コーキング・シーリングは不可欠な作業です。

必要な道具

コーキング・シーリング作業には、専用の道具が欠かせません。

必要な道具役割
マスキングテープ周囲を養生する
プライマー(下塗り材)材料の密着性を高める
コーキングガン(シーリングガン)材料を押し出す
へラ形を整えてきれいに仕上げる

道具選びを怠らないことが、コーキング・シーリング成功のポイントです。

製品の種類(1液と2液の使い分け)

コーキング・シーリング剤には「1液型」と「2液型」があり、使い分けが重要です。

スクロールできます
製品の種類用途特徴
1液簡単な補修やDIYチューブから出してすぐに使える
2液大規模工事主材に硬化剤を混ぜることで、より強力な接着力を発揮する

用途に合わせて選ぶことで、施工後の性能や耐久性に大きな差が出ます。施工後の仕上がりや耐久性を左右するため、製品選びには注意しましょう。

作業工程

コーキング・シーリングの施工では、正しい手順を踏むことで性能が十分に発揮されます。基本の作業工程は、以下の通りです。

  1. 下地の汚れや油分を除去する
  2. マスキングテープで施工箇所を養生する
  3. プライマーを塗布する
  4. 材料を充填する
  5. ヘラで押さえて仕上げる
  6. 乾燥させてから、テープを剥がす

作業工程を間違えると、耐久性や防水性、気密性、防音性などが下がってしまいます。丁寧な下地処理と適切な作業を心がけ、コーキング・シーリングの性能と美観を維持してください。

コーキング・シーリングに関するよくある質問(FAQ)

コーキング・シーリングに関するよくある質問(FAQ)

コーキング・シーリングについては、施工方法やメンテナンスに関する疑問を抱くことがあります。ここでは、特に寄せられる質問をピックアップして、回答を紹介していきます。

DIYと業者施工のどちらがよい?

施工の箇所や範囲によって、DIYと業者施工を検討しましょう。

コーキング・シーリングの施工方法適したケース
DIY小規模な補修箇所
(小さな外壁のひび割れや浴室の目地など)
業者への依頼広範囲の施工箇所
(住宅の外壁全体やオフィスビルなど)
耐久性を重視する箇所
(高所やコンクリートのひび割れなど)

特にDIYの初心者だと、道具や技術の不足により仕上がりにムラが出たり、密着不良により早期に劣化したりするリスクがあります。耐久性と仕上がりの美しさを求めるなら、専門業者に依頼するのが安心です。

業者に依頼する費用はいくら?

コーキング・シーリングを業者に依頼する費用の相場は、1メートルあたり500~1,500円程度です。ただし打ち増しと打ち替えによって、費用は異なります。

  • 打ち増し:1メートルあたり500〜1,000円程度
  • 打ち替え:1メートルあたり1,000~1,500円程度

たとえば200㎡の外壁全体を打ち替える場合には、20万〜40万円程度かかります。また使用する材料の種類や施工箇所の規模、足場の有無によっても、金額が変動します。複数業者に見積もりを取って、適正価格を判断してください。

長持ちさせるコツはある?

コーキング・シーリングを長持ちさせるコツは、適切な材料選びと正しい施工、定期的なメンテナンスなどです。性能の高い材料を使い、施工基準に従って正確に作業することで、劣化スピードを抑えることができます。

  • 防水性の高いコーキング・シーリング剤を選ぶ
  • プライマーを適切に塗布して施工する
  • 5年ごとの簡易点検を心がける

以上の点に気をつけることで、コーキング・シーリングの耐用年数を大幅に延ばすことができます。

雨の日に施工できる? 

いいえ、雨の日にコーキング・シーリングを施工するのは避けてください。

  • 施工面が濡れていると材料がしっかり密着せず、剥がれやひび割れの原因になる
  • 作業中に雨に濡れると、硬化不良を起こして防水性が大きく低下する

確実な仕上がりを得るためにも、天候が安定している乾燥した日に施工を行うことが重要です。 

防水性に優れた製品はどれ?

実際に使用するコーキング・シーリング剤の種類(アクリル・ポリウレタン・変成シリコン・変性エポキシ・ポリサルファイドなど)によって、防水性が左右されます。

  • 変成シリコン・ポリサルファイド・ポリウレタンは防水性が比較的高い
  • 同じ種類の中でも高耐候型の製品を選ぶ

ただし高性能の製品を選んでも、コーキング・シーリングの手順を間違えると性能が十分には発揮されません。つまり材料選びと正しい施工が防水性能を決定するポイントです。

メンテナンス(打ち増しや打ち替え)のタイミングはいつ?

コーキング・シーリングの打ち増しや打ち替えのタイミングは、一般的に施工から5〜10年です。

コーキング・シーリングのメンテナンス方法用途
打ち増し
(既存の素材の上から追加する)
軽度のひび割れや剥がれ
打ち替え
(既存の素材を撤去して新たに施工する)
深いひび割れや剥離

劣化を放置すると雨漏りや内部劣化につながるため、早めの点検と対応が重要です。

まとめ:コーキング・シーリングを適切に使おう

まとめ:コーキング・シーリングを適切に使おう

コーキングとシーリングは、建物の耐久性や美観を守る重要な工程です。正しい知識と適切な施工で、建物の性能(耐久性・防水性・気密性・防音性)と美観を高めましょう。

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※1参照元:日本シーリング剤工業会「建築用油性コーキング剤試験方法」(https://www.sealant.gr.jp/kikaku/kikaku1)

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