外壁や屋根の塗装工事に欠かせない「ケレン作業」は、仕上がりと耐久性を左右する重要な工程です。本記事では、ケレン作業の必要性や種類について解説します。ケレン作業にかかる費用についてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
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外壁・屋根塗装のケレン作業とは?

外壁や屋根の塗装工事における「ケレン作業」とは、古い塗膜やサビ、汚れなどを取り除き、塗料がしっかり密着するように下地を整える作業です。塗装の持ちを左右する重要な工程で、見た目や耐久性に大きく影響します。 「ケレン」の語源は明確ではありません。英語の「clean」が訛ったものと考えられています。
ここでは、ケレン作業の役割や他の下地処理との違いを詳しく解説します。
ケレン作業の役割
ケレン作業の役割は、外壁・屋根と塗料の密着力を高めて剥がれを防ぐことです。たとえば金属部分にサビが残ったまま塗装すると、すぐに浮きやはがれが生じてしまいます。
- サビを除去してから塗装することで、長持ちさせることができる
- 古い塗膜を落としてから塗装することで、仕上がりが美しくなる
したがってケレン作業は、塗装の土台を作る大事なステップです。
ケレン作業が必要な素材
特に金属製やモルタル・コンクリート製、木製の外壁・屋根材に対して、ケレン作業が必要不可欠です。
ケレン作業が必要な素材 | 理由 |
金属 | 鉄部やトタン屋根などは、時間とともにサビが発生しやすい |
モルタル・コンクリート | 劣化した塗膜や粉化した表面を除去しないと塗料が密着しにくい |
木 | 風雨や紫外線により、表面の毛羽立ちや汚れが発生しやすい |
ケレン作業をしないと、塗膜が浮いたり剥がれたりしてしまいます。見た目も悪くなり、滑らかな仕上がりにはなりません。また耐久性が大きく低下してしまいます。素材ごとに適切なケレン処理を行うことで、塗装の効果を引き出すことができます。
他の下地処理との違い
外壁・屋根塗装の下地処理には、ケレン作業の他に、高圧洗浄やひび割れの補修、シーリング処理、パテ埋め・研磨、下塗り(シーラー・プライマーの塗布)があります。目的と方法の違いは、以下の通りです。
下地処理の種類 | 目的の違い | 方法の違い |
ケレン作業 | さびや古い塗膜の除去 | ワイヤーブラシや電動工具を使用する |
高圧洗浄 | ホコリ・コケ・カビ・汚れなどの除去 | 高圧洗浄機の水圧で洗い流す |
ひび割れの補修 | 雨水浸入や躯体劣化の防止 | 補修材でひびを埋める |
シーリング処理 | 継ぎ目の防水性・気密性を保つ | シーリング材を打ち増し・打ち替えする |
パテ埋め・研磨 | 滑らかな下地に整える | 小さな穴や段差を埋めるペーパーやすりで磨く |
下塗り | 塗料と下地の密着性を高める | シーラーやプライマーを塗布する |
以上のように下地処理の種類によって目的が異なりますので、適した方法を選びましょう。
ケレン作業はDIYできる?

外壁や屋根のケレン作業は道具があれば自分でも取り組めそうですが、実際には仕上がりに大きな差が出ます。
ここでは、DIYで可能な範囲や業者に依頼すべきケースについて解説します。
DIYでも可能か?
軽度なケレン作業であれば、DIYでも行うことは可能です。たとえば外壁・屋根の木部や金属部に付着した軽いサビや汚れなら、紙やすりやワイヤーブラシなどの簡易な道具で落とせます。
ただし以下の点には、ご注意ください。
- ケレン作業には、適切な力加減やムラのない処理が求められる
- 処理が甘いと、塗料が剥がれやすくなる
軽い程度なら、慣れていなくてもDIYで対応できます。自分で作業できる範囲を正確に判断しましょう。
業者に依頼したほうがよいケース
以下のような理由から、広範囲な外壁・屋根のケレン作業は専門の業者に依頼するのがおすすめです。
- 頑固なサビや劣化した塗膜も完全に除去できる
- 電動工具の使用や高度な技術を持っている
- 足場や安全対策もプロに任せることで安心できる
不慣れなDIYで対応してしまうと塗膜が早く剥がれ、結果的に再塗装が必要になる場合もあります。手間や安全性、仕上がりの確実さを考えると、専門業者に任せたほうが安心です。
外壁・屋根塗装前にケレン作業をしないと起こるトラブル

ケレン作業を省いて塗装を行うと、外壁や屋根の見た目だけでなく性能にも悪影響を及ぼします。
ここでは、具体的にどんなトラブルが起きるのかをわかりやすく解説します。
塗膜の剥がれや浮きの原因になる
外壁・屋根塗装前にケレン作業をしないと、塗料が下地にしっかり密着せず、塗膜が早期に剥がれたり浮いたりするリスクが高まります。
- サビや古い塗膜が残っている塗装面には、新しい塗料が定着しない
- 時間が経つにつれて、ポロポロと剥がれ落ちてしまう
特に金属性の外壁・屋根材にはサビが発生しやすく、放置すると腐食の進行が早まります。塗膜の剥がれや浮きを防ぐためには、塗装前に下地を整えるケレン作業が欠かせません。
仕上がりの美観が損なわれる
ケレン作業を怠ると表面の凹凸や汚れが残ってしまい、塗装後にムラやザラつきが目立ってしまいます。
- 下地がきれいでなければ、塗料のツヤや均一な色合いを引き出せない
- 塗膜の膨れやサビの上から塗装すると、見た目に凹凸が残る
高級な塗料を使用する場合でも、業者が施工する場合でも、ケレン作業が欠かせません。仕上がりの外観を保つためには、見えない部分の処理こそが重要です。
塗装の耐久性が低下する
塗装の耐久性を維持するためには、下地との密着性が必要不可欠です。密着性を高めるために、ケレン作業を行います。ケレン作業を怠ると、以下のリスクが伴います。
- 数年で塗膜が劣化し始め、早期の再塗装が必要になる
- 特に風雨や紫外線にさらされる外壁や屋根では、耐用年数が短くなる
ケレン作業の丁寧さによって、塗装のもちに大きな差が出ることもあります。塗装の効果を最大限に引き出すためには、ケレン作業による表面処理が重要です。
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ケレン作業の種類と手順

ケレン作業には4種類があり、用途が異なります。
ここでは、1種〜4種のケレン作業と使用する道具・機材、基本的な作業の流れについて詳しく解説します。
1種〜4種の違い
ケレン作業は4種類(1種〜4種)に分類され、それぞれ作業の強度や目的が異なります。
ケレン作業の種類 | 用途 | 方法 |
1種 | 防食性が求められる橋梁や工場など | サンドブラストなどで表面を完全に処理する |
2種 | 金属製の外壁・屋根など | 電動工具を使って、広範囲のサビや古い塗膜を落とす |
3種 | 金属製以外の外壁・屋根など | ワイヤーブラシやスクレーパーなどで、部分的なサビや浮いた塗膜を落とす |
4種 | 目粗しや細かな表面の処理 | 紙やすりやマジックロンなどで、軽度のサビや汚れを落とす |
外壁・屋根の状況に応じて適切なケレン作業の種類を選ぶことで、塗装後の品質と寿命を維持できます。
使用する道具・機材
ケレン作業で使う道具は、作業の種類によって変わります。
道具・機材の分類 | 道具・機材の具体例 | 用途 |
手工具 | 紙やすりワイヤーブラシ皮スキ | 軽度なサビや汚れ |
電動工具 | グラインダーサンダー | 広範囲の作業やサビの強い部分 |
安全装備 | 防塵マスクゴーグル | 粉じんからの保護 |
特に電動工具を使うことで作業効率が格段に上がりますが、扱いには注意が必要です。適切な道具や機材を選択することで、仕上がりにも大きな違いが出ます。
基本的な作業の流れ
ケレン作業の一般的な手順は、以下の通りです。
ケレン作業の手順 | 各工程の内容 |
状態確認 | サビや古い塗膜の状態を確認する |
作業範囲の決定 | どの程度のケレン作業が必要かを判断する |
道具・機材の準備 | 作業に必要な道具・機材を揃え、安全対策する |
処理作業 | 電動工具や手工具を使ってサビや塗膜を丁寧に除去し、表面を滑らかに整える |
点検・清掃 | 塗装できる状態に仕上げたら、粉じんや削りカスを片づける |
丁寧な段取りによるケレン作業こそが、外壁・屋根塗装の質を高めるカギになります。
外壁・屋根塗装のケレン作業費用

ケレン作業の費用は、作業の種類や外壁・屋根の状態、施工面積などによって大きく異なります。
ここでは、種類別の単価相場や見積もりの扱い、費用が高くなる要因、抑えるコツを丁寧に解説します。
種類別の単価の相場
ケレン作業の費用は、作業の種類によって大きく変わります。一般的に住宅の外壁・屋根塗装前に行われるのは、3種・4種ケレンです。
- 1種ケレン(サンドブラストなどの重処理):2,000円/㎡以上
- 2種ケレン(電動工具による全面的な処理):1,500円/㎡程度
- 3種ケレン(部分的なサビ落とし):1,000円/㎡程度
- 4種ケレン(簡単な目荒らし):500円/㎡程度
ただしケレン作業の費用は、外壁や屋根の素材や劣化状況によっても左右されます。
ケレン作業費用は塗装工事の見積書に含まれるか?
一般的には、ケレン作業費用は「下地処理費」や「付帯作業費」などの一部として、塗装工事の見積書に含まれます。しかし見積書の確認時や塗装工事の依頼後には、以下の点にご注意ください。
- 見積書に「ケレン作業」と明記されているか
- 実際の工事でケレン作業が行われたか
- 簡易的な下地処理だけで済まされていないか
納得できる施工を受けるためには、「どの種類のケレンか」「どの範囲まで行うのか」を事前に確認しましょう。分かりやすく説明してくれる業者を選ぶことも重要です。
費用が高くなる要因
ケレン費用が高くなる主な要因は、以下の4点です。
- 広い施工面積
- 重度のサビや劣化
- 高所作業の有無
- 電動工具や特殊機材の使用
たとえば金属屋根の全体に赤サビが広がっている場合には2種ケレンを行う必要があるため、3・4種ケレンよりも人件費と作業時間がかさみます。また足場が必要な高所作業では、安全管理費が必要です。
費用を抑えるコツ
ケレン作業の費用を抑えるコツは、日ごろのセルフメンテナンスや早めの再塗装、相見積もりなどです。
- 軽いサビや汚れを取り除くことで、再塗装前のケレン作業コストが減る
- 劣化が軽いうちに再塗装を依頼して、ケレン作業のコストを減らす
- 各業者の見積もりを比較して、コストパフォーマンスの良い業者を選ぶ
メンテナンスや再塗装のタイミング、業者の選び方に注意することで、コストを抑えつつ確実な施工が可能になります。
ケレン作業を安心して任せられる塗装業者の選び方

ケレン作業の品質は、業者選びによって大きく変わります。見積もり内容や施工実績、評判などをチェックすることで、信頼できる業者に依頼しましょう。
ここでは、 ケレン作業を安心して任せられる塗装業者の選び方をご紹介します。
見積書にケレン作業の記載があるか
見積書にケレン作業の内容を具体的に記載している業者なら、信頼性が高いです。
- 見積書に明記されていないと、ケレン作業の内容やレベルが不明確なので注意
施工後のトラブルを防ぐためには、「3種ケレン」「外壁の金属部」などの具体的に表記してくれる業者を選ぶことが重要です。書面で確認できると、塗装後のトラブル防止につながります。
施工の実績や事例があるか
ケレン作業の経験が豊富な業者は、具体的な施工実績・事例を提示してくれます。以下の点を確認しましょう。
- 公式サイトや営業資料で施工事例を確認できるか
施工の実績や事例を確認できると、施工の質をイメージしやすくなります。技術力の裏付けであり、信頼の証です。
口コミ・評判は良いか
ケレン作業を安心して任せられる塗装業者を選ぶ際には、口コミや評判も大切な判断材料です。
- クチコミサイトや比較サイトを調査すると、消費者の声が見えてくる
- 具体的な内容が記載されている投稿なら、信頼性が高い
「丁寧に作業をしてくれた」「塗装が長持ちしている」といったリアルな声こそ、業者選びの決め手になります。
アフターケアと施工保証があるか
万が一のトラブルに備えて、アフターケアや保証制度の有無も確認しましょう。以下の点をチェックしてください。
- 保証書が発行されるか
- 保証の内容が明記されているか
- 保証期間は何年か
塗装後の色ムラや剥がれなどに対するアフターケアと施工保証が充実している業者なら、安心して依頼できます。外壁・屋根塗装を依頼する前には、塗装後の対応方針まで確認しておくことが必要です。
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まとめ:ケレン作業で塗装の品質と寿命が大きく変わる

ケレン作業は塗装の密着性や耐久性を左右する大切なステップです。見た目の美しさや長持ちする塗装を実現するためにも、適切なケレン処理と信頼できる業者選びが大切です。
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