外壁塗装の施工不良は対処が難しい問題です。外壁塗装に「これは施工不良かな?」という状態があると、不安になります。
業者とどのように話したらいいのか、安くない工事費にさらにやり直しのお金が追加になるのでは?などが気になるでしょう。
この記事では、家の外壁塗装工事の結果について不満が出たときに、どのように状態を確認し、どう対処すればいいかを解説します。施工不良の例や予防方法も説明しますので、お困りの方はぜひ最後までお読みください。
外壁塗装の施工不良とは何か?
施工不良とは、外壁塗装の工程に何らかの問題があって不具合が発生して、外壁の仕上がりや保安性能が良くない状態のことです。
また、外壁の良い状態が長持ちせず、早く劣化するような施工も含まれます。多少見た目が良くないというだけでなく、塗装の質は落ちたことで家に傷みが生じることになります。
外壁塗装の施工不良の箇所は、塗膜が本来の機能を発揮できていません。したがって、放置しておくと次項でご説明するような問題につながります。
外壁塗装の施工不良で起こる被害
外壁塗装は家の外観を担うだけでなく、家の内部までの建材を、雨水の侵入や風化から護る役割も果たしています。
施工に問題のある外壁は、塗った表面に気泡やひび割れ、塗り残しなどのすき間を生じます。そのため、内部に雨水が浸透しやすく、劣化が早く進行します。
その場合、再度の外壁塗装が必要となり、更に費用がかかることになります。
色やツヤのムラがある施工不良は、時間の経過とともにさらに目立つようになることが多いです。また、希望と合っていない色合いは、塗り替えないかぎり、気になり続けるでしょう。
【症状別】外壁塗装の施工不良の見分け方
外壁塗装の施工不良は塗料の希釈(薄める)、乾燥、重ね塗りなどの工程の中で、天候や技術などの問題から生じます。どのような症状となるか、見分け方と発生の原因を解説します。
- 希望の色と違う
- 塗りムラが見える不良
- 表面に気泡がある不良
- 塗装の剥がれやひび割れ
- 液だれや塗り残し
- すぐには分からない施工不良
- 外壁塗装が原因の住宅設備故障
希望の色と違う
施工不良に扱われる中では、色選びのトラブルがもっとも多く報告されます。これは施主と施工業者、どちらの責任かの判断が難しい部分があるためです。
施主が選んだ色をそのまま塗装しても、実際に塗装したら光の加減などで見え方が変わり、期待していた発色と違うことがあります。また、色選びの過程や、業者の説明に問題があったとも考えられるでしょう。
塗りムラが見える不良
外壁塗装の塗りムラは、塗装の色やツヤが、外壁の場所によって異なっている状態です。塗り方によって塗膜の厚さが均一でないか、塗料の調合の問題などが考えられます。あるいは、塗料と塗装する外壁材との相性などでムラが出ることもあります。
塗装は手作業なので、どうしてもムラは起きてしまいます。しかし、ムラの程度によって、再施工が必要なレベルなのかを判断することになります。
表面に気泡がある不良
外壁塗装の表面に細かい気泡が生じている場合は、以下のような原因が考えられます。
- 下塗りの乾燥が不十分なまま、上塗りをおこなった。
- 天候が良すぎて気温が高く、乾燥がうまくいかなかった。
依頼している施工期間が短すぎる場合は、下塗りの乾燥が充分でないまま、中塗り・上塗りされたと考えられます。作業のスケジュールに余裕がないところから起きている場合は、施主の責任もないとは言えません。
気泡が表面に出るのは、施工後7~10日後までに起こることが多いので、その期間は注意して確認しましょう。
塗装の剥がれやひび割れ
外壁塗装の工事から短期間で、剥がれやひび割れなどの塗装の損傷が起きた場合は、以下が原因と考えられます。
- ケレン(古い塗膜の洗浄や剥離作業)などの下地処理の不備
- コーキングの施工不良による雨漏りの発生
- 下塗りと外壁材との組み合わせがよくない
- 下塗りが薄いか、下塗りと上塗りの塗料との組み合わせがよくない
これらは技術よりも、コストカットか知識不足に起因しやすい施工不良でしょう。
液だれや塗り残し
外壁の表面の液だれや塗り残しは、おもに不注意や、作業を急ぎ過ぎて起こります。また、液だれは厚く塗りすぎの場合や、塗料の希釈度合いに問題がある場合にも起こりやすいといえます。
外壁の壁面以外の地面の液だれは、塗料が関係ない箇所に付着しないようにする処置である養生の不足が原因です。
外壁塗装の塗り残しは、速やかに対処を依頼して解決してもらいましょう。また、養生不足で塗料のタレの不始末がそのままになっているなどがあれば、きれいにしてもらいましょう。
すぐには分からない施工不良
完工後すぐにはわからない施工不良は、外壁塗装の施工後数年経ってから、塗膜の劣化が早いことやひび割れや剥がれが起きることで問題が表面化します。
時間が経って起きる塗膜の不良は、たとえば三度塗りする所を二度塗りしかしていないなど、工程の省略が原因で塗膜の寿命が短いことも多いです。
また、塗料を規定より薄めて使ったり、見積もりよりグレードの低い塗料を使用したりすることでも塗膜の保護効果が薄く、早い劣化につながります。
外壁塗装が原因の住宅設備故障
塗装自体の問題ではないですが、外壁塗装工事の影響で、家の設備類に問題が起きることがあります。施工時の養生に不良があって、塗料が機械に付着するなどでエアコンや給湯器に不具合が出ることもあります。
外壁の施工後に、エアコンや給湯器の動作確認を忘れずにするようにしましょう。
このほかケレン(古い塗膜の洗浄や剥離作業)から再塗装の工程以降に、雨漏りやカビが発生することもあります。これは下地処理で一度薄くなった壁面に、保護されない部分が残り、そこから雨水などが浸入するのが原因です。
外壁塗装の施工不良の原因
施工不良の原因となりやすい要因について、再度まとめてみましょう。
職人のスキルによる施工不良
職人も最初から練度の高い人ばかりではないので、知識や技術不足から施工不良が起きる可能性はあります。たとえば以下のようなミスがありえます。
- 外壁面に、均一の厚さで塗料が塗られていない
- 塗料の希釈率が規定より高濃度・低濃度で塗装
- 塗料が完全に乾く前に、次の塗料を塗ってしまう
手抜きによる施工不良
コストダウンして利益を増やすために、以下のように正規の工程を省いて時間や資材を節約した場合、施工不良につながることがあります。
- 希釈率を薄くした塗料を作って塗装
- グレードを下げた塗料を使用
- 塗装工程を飛ばす
外壁塗装の塗料は薄く希釈すればそれだけコストダウンとなり、作業もしやすいです。しかし本来は、壁面の保護のためにも一定以上の濃さが必要で、重ね塗りも三度塗りの工程が基本となります。
工事の価格が相場よりもかなり安い場合、低価格でも利益を出すために、手抜きのリスクが高くなります。例えば、本来三度塗りの塗装を、二度塗りにしている場合もそれに当てはまります。
見積書や工程表が大雑把で簡素な内容である場合や、外壁の見積もり自体が存在しない場合は、施工の手抜きのリスクが高くなります。事前に請求して、細かいチェックをしましょう。
外壁塗装の施工不良を予防する方法
外壁塗装の施工不良が起きてから対処するのでは手間がかかり大変です。この項では、施工不良を事前に予防するための策を解説します。
外壁の色選びの失敗の予防法
塗装の色選びの失敗を未然に防ぐ方法は、以下を参考にしてください。
- 落ち着いた色を選ぶと失敗は少ない
- 周辺環境との色の相性も、事前に確認する
- 大きめサイズの色見本で確認する(A4サイズ程度)
- 同じ塗料を塗った現場の発色を見せてもらう
- 現場で中塗り後に、実際の見え方を確認する
塗装の色見本やカラーシミュレーションでは、細かい色のニュアンスは判断しづらいです。光の当たり方によっても変わるため、実際に塗装した外壁で確認することが確実です。
外壁塗装の予備知識を持っておく
塗装に関する予備知識を持っておけば、施工中に気になる点を質問することやお願いが可能になります。
たとえば以下の点がある程度でも分かっていると、スムーズな依頼や施工状況のチェックが可能です。
- 外壁塗装の工程の流れ
- それぞれの作業でどのようなことをするのか
- 塗料の基本的な種類
- 色決めの方法
- 見積もりの見方
- 各作業の費用の相場
リフォーム瑕疵保険の加入を確認する
リフォーム瑕疵保険は、契約に沿って行われた外壁塗装の施工結果に不備があった場合、施主の負担なく修理を行うための保険です。保険料を支払う被保険者は塗装業者です。
外壁塗装工事の施工が問題ないかを第三者がチェックするため、工事の質の向上も期待できます。施工業者が「リフォーム瑕疵保険」に加盟するためには以下の条件を満たしている必要があります。
- 建設業法による建設業許可を受けていること
- 業者登録申請時までに継続して3年以上リフォーム工事業を営んでいること
- リフォーム工事の実施件数が、直近の3年以内に5件以上あること
これらの審査があるため、リフォーム瑕疵保険に加盟していれば、安心できる業者の目安にもなるでしょう。
施工中にチェックをする
外壁塗装工事の各工程に応じて作業の状況、仕上がり具合を確認し、分からない点や不審な点は質問しましょう。施工中のコミュニケーションは、施工不良の有効な対策となる場合があります。
見積もり段階で、見積もりの明細と工程表が詳細に書かれているかを確認しておきます。そうすれば、施工中に当初の見積もりや工程表通りに行われているかを追っていくことができるでしょう。
外壁塗装の業者選びの基準を知っておく
どのような業者に頼むかは、大切なポイントです。
「とにかく安いのがいい!」ではなく、施工不良を未然に避けて質の良い仕上がりを求めるのであれば、地域密着型の塗装業者や、ホームセンター経由の依頼が比較的安心です。
ブログで紹介されている施工事例や、口コミもチェックします。なかでもWebで塗装業者を比較するのは、欠かせない作業となります。
また、実際に営業担当の方と接してみて、こちらの要望や質問に誠実に答えてくれるかを確認しましょう。強引な勧誘や、塗装業者の都合のメニューの押しつけがない点も大切です。
外壁塗装の施工者には、塗装技能士、外装劣化診断士などの資格があるので、塗装業者の中での有資格者数やは信頼度の目安になります。このほか建設業許可もあると安心です。色の相談なら、色彩検定・カラーコーディネーター検定の有資格者が理想的でしょう。
また、外壁塗装は仕上がりのことだけではなく、施工時のマナーが近隣トラブルにつながることがあるため、そういった点も考慮に入れて業者選びをするとよいでしょう。
外壁塗装の施工不良に遭遇した時の対処法
外壁塗装は手作業で行うので、どうしても施工不良は起きてしまうことがあります。この項では、外壁塗装工事後に「施工不良では?」となった場合に、対処する方法を解説します。
施工業者との適切な相談方法
まずは状況を説明し、施工した業者に現場を見に来てもらいましょう。やり取りの際は最初から施工不良と決めつけず、相手の説明もよく聴き、ケンカ腰にならないことが大切です。
通常は施工に問題があったとなった場合、問題箇所を無償で再施工してもらうことになります。塗装に「おかしいのでは?」という兆候が見つかった場合、年数が経つまでに早めに相談するようにしましょう。
外壁塗装の保証とは?
施主は各種工事の施工にあたって、契約通りの品質や目的にかなったものを得られなかったときは、施工者にその責任を完遂してもらうように求めることができます。契約通りの目的や品質に満たないことを、契約不適合責任といいます。
この契約不適合責任に関して、施主は不具合のある納品について、修理や代替品の提供、損害賠償、代金減額、契約解除などを交渉する権利があります。
ただし、この権利を行使して問題を解決するには、相手方である塗装業者が施工不良の責任を認めてもらう必要があります。施工業者も、施工の不具合を早く解決してトラブルを回避するように、顧客への保証を準備していることが多いので、率直に相談しましょう。
製品保証と工事保証
製品保証とは、塗料メーカーが自社製品が理由で起きた施工不良に対して、再施工のための購買費用を負担するものです。
ただし、塗料が正しい方法で調合されて塗られていたかなどがはっきりしている必要があるため、適用の範囲は限られるようです。
外壁塗装の工事保証は、施工業者が自社の施工について行う保証です。保証期間中に施工不良が出た場合に、無償修理などを依頼できます。
施工業者や工事内容によって保証の内容が異なります。たとえば外壁のみが保証対象で、それ以外の個所の塗装で問題が起きても対象外、ということもあります。
保証を受ける場合には、事前に保証内容をよく確認することと、保証書を発行してもらうようにしましょう。
クーリングオフの制度
「契約してすぐ工事となったが、内容がよくないため解約したい」場合などは、クーリングオフの制度が適用できることがあります。
クーリングオフは消費者保護のために、望まない商取引契約の解約を認めたもので、契約トラブルの解決手段のひとつです。所定の書式で、施工業者に内容証明郵便を送ることで成立します。内容証明郵便は書式に細かい決まりがあるので、それを確認のうえ、書面を作成します。
クーリングオフの書面の記入方法
理由の文例 | 施主の〇〇さんが、□□塗装店と外壁塗装リフォームを契約した。訪問販売で強引な契約が行われた上、施工が始まると品質に問題があったため、ほかの業者に依頼するためにクーリングオフを申し出た。 |
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契約解除通知の内容 | 契約書を受け取った日付 契約した商品名 例:外壁塗装リフォーム 契約金額(見積金額) 契約先の業者名 業者の担当者名 契約の解除をしたい旨の意思表示 例:上記日付の契約を解除します。支払い済みの△△円を速やかに返金の上、商品を引き取ってください。 申し出日(クーリングオフを申し出た日) 施主(契約者)の住所 施主(契約者)の氏名 |
料金 | 通常の郵送費+内容証明の加算料金430円(2枚目以降260円増) |
ただし、以下に当てはまる場合、クーリングオフができません。
- 正規の様式で契約書を交わして、8日以上が経過した
- 契約者自身から業者を呼び、あるいは業者の店舗で契約をした
- 契約金額3000円未満の現金取引
- 過去1年に取引実績のある業者のと契約
- 日本国外の契約
クーリングオフの相談ほか商契約のトラブルの対応が必要な場合、国民生活センターに相談しましょう。
国民生活センター(消費者センター)
リフォーム瑕疵保険の適用
前述のリフォーム瑕疵保険の加入が事前に分かっていれば、適用を相談しましょう。保険の審査人の施工チェックにもかかわらず問題が起きた場合は、再施工の費用のための保険がおりることになります。
専門知識を持つ人に相談する
当事者間で話が進まない場合、消費者ホットライン、前述の国民生活センター、住まいるダイヤル、住宅リフォーム・紛争処理支援センターなどを利用しましょう。
上記への相談の結果、弁護士への相談をすすめられることもあります。
相談先機関名称 | URL |
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独立行政法人国民生活センター | https://www.kokusen.go.jp/index.html |
公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター | https://www.chord.or.jp/ |
まとめ
ご自宅の外壁塗装工事に施工不良が見つかったとき、どのように状態を確認し、どう対処すればいいかを解説しました。
「施工不良では?」と感じても、言い出しづらいかもしれません。しかし、施工不良を放置すれば家の美観だけでなく寿命を縮めるうえ、業者との信頼関係も築けないので、今後何かあっても頼むことができません。不安に思う点があれば、施工業者に率直に相談しましょう。
また、そもそも施工不良に遭わないように、適切な外壁塗装業者を選ぶことが重要です。悪徳業者を選んでしまうと、施工不良以外のトラブルにも発展しやすくなるため注意が必要です。
ペイプロなら、適切な価格で安心施工の外壁塗装業者を紹介しています。
どんな業者がいいかわからない方、評価の高い業者に依頼したい方は、ぜひぺイプロをご活用ください!